国際課税の新ルールで大枠合意 一部の国は合意に至らず

吉田貴司、ロンドン=和気真也
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 多国籍企業の「課税逃れ」を防ぐ国際課税の新たなルールについて、日本など130カ国・地域は1日、国際的な法人税の最低税率を「15%以上」とすることなどで大枠合意した。巨大IT企業などを対象にした「デジタル課税」の導入も決めた。いずれも2023年の実施を目指す。ただ、詰め切れなかった論点も残り、最終合意の時期は目標だった7月から10月に先送りする方向だ。

 協議を主導する経済協力開発機構(OECD、本部・パリ)が1日午後(日本時間2日未明)、発表した。テレビ会議方式で開いた参加国の事務レベル会合で合意文書がまとまった。9日からイタリアで開かれる主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議に報告する。

 協議には139カ国・地域が参加している。ただ、1日時点では、アイルランド、ハンガリー、エストニア、バルバドス、ケニア、ナイジェリア、ペルー、スリランカ、セントビンセント及びグレナディーン諸島の9カ国が、大枠合意までは至っていない。

 新ルールは、国境を越えて活動する多国籍企業への課税を強めるのが目的だ。具体的には、企業に課す法人税に共通の最低税率を設ける。多国籍企業が税率の低い国に設けた子会社に利益を移すなどして税負担を軽くする「課税逃れ」をしにくくする狙いがある。

 焦点だった税率は、主要7カ国(G7)が6月の財務相会合で一致した「15%以上」で合意した。ただ、具体的な税率を確定させることはできず、最終合意に向けて調整を続ける。最低税率が高くなるほど、税率を低く抑えて企業誘致を進めてきた軽課税国の反発は強まるとみられ、調整が難航する可能性もある。

 もう一つの柱が「デジタル課税」の導入だ。巨大IT企業などを念頭に、工場などがなくてもサービスの利用者がいる国が利益の一部に課税できるようにする。対象は全世界の売上高が200億ユーロ(約2・6兆円)を超え、利益率10%以上の多国籍企業。米グーグルなどの巨大IT企業を中心に100社程度が対象とみられる。これらの企業のサービスの利用者がいる国が利益率10%を上回る利益の20~30%に課税できるようにする。具体的な配分割合は今後詰める。たとえば、利益率が20%で1兆円の利益がある企業なら、基準を超える10%分の利益5千億円の20~30%を売り上げに応じて関係各国で配分するイメージだ。

 製造業を念頭に約100年前にできた現在の国際課税の原則では、子会社や工場などの物理的な拠点がなければ課税できない。だが、拠点の有無にかかわらず、SNSや動画配信、検索などのデジタルサービスで巨額な利益を世界で上げている企業が台頭し、利用者だけがいる国での課税方法が課題になっていた。吉田貴司、ロンドン=和気真也)