渋谷のスクランブルも自前で作る 中国映画、破格の現場

有料会員記事

聞き手・佐藤美鈴
[PR]

 9日公開の映画「唐人街探偵 東京MISSION」は、中国人の探偵コンビが世界各地で難事件を解決していく人気推理コメディーの第3弾。バンコク、ニューヨークに続いて日本が舞台となり、妻夫木聡長澤まさみと日本の俳優も数多く出演する。

 この作品に日本のプロデューサーとして参加したのが古澤佳寛。「君の名は。」「天気の子」の製作に携わり、川村元気とともに立ち上げた企画製作会社STORYで、中国をはじめ海外展開を視野に企画を進めている。今作では、潤沢な資金力でやりたいことを実現する中国映画の姿勢に「日本映画の理屈とは違う」と驚かされたという。

 勢いを増す中国映画に、日本はどう関わっていくのか。話を聞いた。

写真・図版
「唐人街探偵 東京MISSION」(C)WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

4日間で興収490億円

 ――「唐人街探偵 東京MISSION」は中国では2月に公開され、4日間で興行収入30億元(約490億円)の新記録を出しました。規模感がすごいです

 去年の全世界の興行収入ランキングでは、10位のうち半分近くが中国映画。中国映画の情報はヒットしても日本にあまり入ってこないけれど、「君の名は。」が中国で100億円くらいの興収をあげて、日本の作品の出口としても興味を持っていました。

 「唐人街探偵」のシリーズは探偵モノのコメディー。2月の春節の時期に、特にローカルのお客さんは年に1本は映画を見るぞという習慣があるので、そこに刺さるジャンルの映画として、日本の風景を含めて紹介できて良かったと感じています。

 ――日本がここまでがっちり舞台になることは珍しいのでしょうか。日本の俳優も数多く出演しています

 中国でも40代以上の方は日本のコンテンツに接していて、ちょうどその世代がものづくりをしている方たちでもあるので、日本を舞台にした作品を作りたい、という気持ちになっていただいているんだと思います。

 今回監督をされた陳思誠監督も、ずっとテレビで日本の作品に触れてきて、いつか日本で映画を撮ろうと思って下さっていた。

 実際、鈴木保奈美さんは「東京ラブストーリー」を見て好きだったとか、三浦友和さんも「赤い疑惑」などの「赤い」シリーズが中国でも人気があって、役者を知った上でこの人をキャスティングしたい、と。

 ただ、中国の国営放送で放送されていた時期もある日本のアニメも、最近は国の方針もあってできなくなっています。日本作品に親しみをもった世代が減っていくので、ちょっと残念です。日本が憧れの対象から少しずつ変わっていっている世代だとも思うし、自国の国力もすごくて、ヒットが出てきているので。

 ――総製作費は65億円、日本だけでも31億円と、こちらも破格です

 そうですね、多いほうだとは思います。ただこれ以上かけられる映画もあるし、逆に日本ではかけられない予算でもあります。

潤沢な製作費で「本当の娯楽」追求

 ――中国映画の潤沢な資金力について、製作にかかわってみてどう感じましたか

 シリーズ3作目で、こういうことをやりたいということが演出でも明確にあって、日本の温泉、風呂を舞台にしてこんなシーンをやりたいとか、クライマックスの謎解きの場所には渋谷のスクランブル交差点が必要なんだ、とか。

写真・図版
「唐人街探偵 東京MISSION」の撮影風景。栃木県足利市に作られた渋谷のスクランブル交差点のセット=配給会社提供

 観念的な理屈よりも、ここでこれをやりたいということに対して純粋に、費用をかけてでもいい画(え)を撮る、という判断がすごくあると感じた。スクランブル交差点を使えないのであれば作ってしまおう、とか、温泉のセットも2日ぐらいしか使わないのにすごい予算をかけて東宝のスタジオに建てたりとか。

 そこは日本映画の理屈とは全く違うなと思いました。

 ――渋谷のスクランブル交差点、使えないなら作ろう、というのはすごいですね

 そこはほんと驚きですよね…

この記事は有料会員記事です。残り2213文字有料会員になると続きをお読みいただけます。