「取材規制は五輪憲章違反」 米メディアが組織委に抗議

中井大助=ニューヨーク、斉藤佑介
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 東京五輪パラリンピックを取材するために海外から訪れる記者に対する行動制限について、ニューヨーク・タイムズやAP通信など、米主要メディアのスポーツ部門責任者が大会組織委員会に抗議の書簡を連名で送った。規制は新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な範囲を超え、一部は「五輪憲章に反する」として見直しを求めている。

 書簡は、組織委がGPSで記者の行動を追跡するとしているものの、データがどのように集められ、保管されるのかが明らかにされていないと指摘。インストールを求められているスマートフォンアプリについても「機微に触れる個人情報が多く集められるが、どのように使われ、管理されるのか不明」とした。

 また、観客への取材が禁止されることや、新型コロナウイルスのワクチン接種を受け、マスクを着けても外出について規制を受けることなども問題視。「多くは、海外の記者だけを対象とし、観客や地元の記者の移動が自由に認められているにもかかわらず、変更されていない」と訴えた。

 そのうえで、▽GPS追跡について明確な基準を設ける▽アプリのセキュリティー検証の機会がメディアにも与えられる▽マスクを着け、社会的な距離を保っている記者が通常の取材活動をすることが認められること――などを求めた。

 書簡は6月28日付で、橋本聖子組織委会長らにあてられ、新聞や通信社のスポーツ報道の責任者計13人が署名をした。ニューヨーク・タイムズのスポーツエディター、ランディー・アーチボルド氏は朝日新聞の取材に「対策の必要性は理解し、尊重する。しかし、一部の規制が過剰であり、大会を取材して報じることに影響しかねないことを伝えたかった」と語った。

 組織委は取材に対し、「取材の自由については尊重し、コロナ禍の状況に鑑み、ご不便をおかけするが、可能な限り円滑に取材が行えるようにする」とコメント。コロナの情勢を踏まえた対応だといい、「非常に厳しい措置が必要で、すべての参加者と日本居住者のために重要なこと」という認識を示した。

 行動を管理するGPS情報については、常時把握するものではなく、「本人が保有するスマートフォン端末に記録してもらい、必要な際に本人の同意を得て提示を求めるものだ」と指摘。この点を説明し、理解を求める返書を送ったという。中井大助=ニューヨーク、斉藤佑介