衆生を救う「リアル千手観音」 1300年の祈り伝える
久保智祥
お参りノート
葛井寺(大阪府)
千の手で衆生を救うという千手観音。日本では合掌手を含め42手で表されるのが一般的だが、葛井寺(ふじいでら)の本尊、十一面千手千眼(せんげん)観音菩薩坐像(ぼさつざぞう)(国宝)は、現存する日本最古の千手観音像にして、文字通り千本の手を持つ数少ない「真数(しんすう)千手」の代表作だ。
造像は天平時代。寺伝では、725年に聖武天皇の発願で行基が開眼したとされる。合掌手を含む大手40本に扇のように広がる1001本の小手を備え、手のひらごとに眼が描かれる。「千は無限を表しますが、1041本の手は、さらにそれを超えて人々を救うという意思の表れ。最近ではリアル千手観音などと呼ばれるようです」と森崇紘(しゅうこう)副住職(37)。
長い歴史のなかで、兵火や地震で堂宇の多くが失われながら、千手観音は大切に守り伝えられてきた。寺では2025年を千手観音の開創1300年記念とし、南大門修理など「令和の大改修」を進めている。「1300年受け継がれてきた観音様の法灯を将来まで伝えていきたい」と話す。(久保智祥)
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《メモ》大阪府藤井寺市藤井寺、電話072・938・0005。近鉄藤井寺駅から徒歩5分。千手観音の開帳は毎月18日で拝観料500円。
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