三菱電機社長、引責辞任を表明 問題続き「責任を痛感」
三菱電機の杉山武史社長は2日、検査不正問題を受けて会見し、引責辞任を表明した。辞める時期や取締役にとどまるかどうかは未定だという。鉄道向け空調設備やブレーキなどに使われる圧縮機で、検査データの偽装などが見つかっていた。
杉山氏は都内の会見で「鉄道事業者、鉄道を利用される皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし誠に申し訳ございません」と謝罪した。
社員の労災認定が相次いだ労務問題や、サイバー攻撃による情報流出などにも触れた。「近年、労務問題や不正アクセス問題など、異なる性質の問題が立て続けに発生し信頼を大きく毀損(きそん)した。社長として厳粛に受け止めるとともに、責任を痛感している」と述べた。
その上で、「私が社長でありつづけることが、お客様、株主、従業員の皆様から理解が得られるかどうか何度も自問し、社長の職を辞し、新たな体制で信頼回復に取り組んでいくことが必要との判断に至った」とした。
辞任を決めたのは会見前夜の1日夜だったという。長崎製作所(長崎県時津町)での検査不正は6月14日に社内で発覚し、30日に公表していた。
新体制の詳細は、後日発表するという。
三菱電機によると、鉄道車両の空調設備と、ブレーキやドアに使う空気圧縮設備で検査の偽装があった。ともに長崎製作所でつくっている。性能や寸法などの検査で、仕様書とは異なる方法で試験をしたり、架空のデータを記入したりしていた。1985年ごろから続いていたとみられる。
複数の関係者によると、この不正をめぐっては架空データを自動的につくる「専用プログラム」が使われていた。適正な検査をしているように見せかけようとしていたとみられる。組織的な不正が続いていた疑いが強まっている。
三菱電機によると、長崎製作所では85~2020年に空調設備を国内に約6万8800台、海外に約1万5800台、計約80社に出荷した。空気圧縮設備はこの15年で国内に約1500台、約20社に出荷したという。このうち不正があった台数は調査中だという。(小出大貴)
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- 【視点】
30年以上も不正が続くあいだに社長は何人もいた。就任4年目の杉山社長からみると、なぜ私のときに、という気持ちがあるかもしれない。しかし、今秋の辞任表明は社外への謝罪の意味はもちろんありますが、自分があずかり知らぬところから次々と不祥事がわき
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