写真の虚構性と戯れて 鷹野隆大展 大阪で始まる

田中ゑれ奈
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 写真という媒体の探究を通して「視覚のドラマ」を考える写真家・鷹野隆大(りゅうだい)。初の大規模個展「鷹野隆大 毎日写真 1999―2021」(朝日新聞社など主催)が6月29日、大阪・中之島国立国際美術館で始まった。日常的なものや風景をコンセプトを排して撮るプロジェクト「毎日写真」や、近年の「影」を主題にした作品群などが公開されている。

 セクシュアリティーをめぐる考察を促す人物写真や雑多な街並み、東京タワーの定点観測など、ほぼ時系列に並ぶ作品はひとりの写真家が手がけたと思えないほど多様で、混沌(こんとん)としている。「世界は常に複雑で割り切れない。わからないから面白いし、わかりたいのだと思う」と鷹野は話す。

 その上で、鑑賞の入り口として提示するキーワードは「写真の虚構性」だ。たとえば、ピントのぼけたモノクロ写真なのに何が写っているかわかる。全く違うものや場所を撮った2点がどこか似ている。単なる物質でしかない身体の写真が時に、見る者の感情をかき乱す。写真の持つそうした不思議な作用を通して「現実を平面化することで引き起こされる、虚構性や幻覚性とのさまざまな戯れを楽しんでほしい」と言う。

 一方、近年のプロジェクトでは「自然界ですでに平面化されている」存在である影に関心を寄せる。「それをわざわざ写真に変換するのではなく、本当の影の状態のまま見せられたら」。カメラを介さず印画紙に直接影を焼き付けるプロジェクトや、鑑賞者の影が一定時間、壁にとどまるインスタレーションは、写真という装置の限界を超えて影を所有する試みでもある。

 9月23日まで。8月9日と9月20日をのぞく月曜と8月10日休み。一般1200円など。国立国際美術館(06・6447・4680)。(田中ゑれ奈)