「特例認めれば空中分解」 国際課税ルール、なお火種

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吉田貴司、ロンドン=和気真也、ワシントン=青山直篤
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 多国籍企業の「課税逃れ」を防ぐ国際課税の新たなルールについて、日本など130カ国・地域は1日、制度の大枠で合意した。コロナ禍による各国の財政悪化や格差の拡大を受け、米国などが課税強化に動き出したことが大きい。ただ、税率が低い「軽課税国」の一部は今回、合意への参加を見送り、10月をめざす最終合意に向けては対立の火種を残した。

 大枠合意は、協議の事務局を務める経済協力開発機構(OECD)が1日午後(日本時間2日未明)に発表した。法人税に共通の最低税率を設け、税率は「15%以上」にすることで一致。巨大IT企業のように工場などの拠点がない国でも大きな利益を出している多国籍企業に対し、サービスの利用者だけがいる国も部分的に課税できる「デジタル課税」を創設する。具体的には、対象企業の利益率10%を上回る利益の20~30%を売り上げに応じて各国で配分し、課税できるようにする。いずれも2023年の実施をめざす。

 12年に始まった新ルールをめぐる交渉が、ここにきて一定の合意に至った背景には、新ルールの影響を受けやすい巨大IT企業を多く抱える米国が積極姿勢に転じた影響が大きい。消極的だったトランプ前政権から一転、いまのバイデン政権は企業への増税分を元手に、コロナ禍で悪化した財政の立て直しや国内の格差是正を進める方針を打ち出している。

 大枠合意の文書が公表されると、バイデン大統領自ら声明を発表。「『中間層のための外交』を掲げて世界をリードすると約束したが、まさにそれを実行に移した。今秋の完全合意を楽しみにしている」とした。

 日本や英仏独などの欧州諸国もコロナ禍で財政が悪化しており、米国の動きを好機ととらえた。日本はもともと、「底辺への競争」とも言われる法人税の税率切り下げ競争や、各国・地域の税制の抜け穴をついた過度な節税を行う多国籍企業を批判してきた。麻生太郎財務相は2日の会見で「画期的な取り組みをやろうとしている。歴史的な合意と言え、大変歓迎している」と語った。

 財務省幹部は「普段なら議題にもならない大胆な提案が合意できそうな機運がコロナ禍で生まれた。各国とも何らかの不満はあるが、それをぶつけて合意案を宙に浮かせるより、妥協しても合意したい。そういう状況だった」と話した。

 ただ、今回の大枠合意では…

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