難民からファミリーヒストリーまで 彼女は撮り続ける

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上田真由美
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 テレビディレクターの金本麻理子さん(48)が新型コロナウイルスパンデミックに直面したのは、昨年2月から滞在していたレバノンでだった。国民難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告書で、とりわけ深刻な貧困状態にあると指摘された、シリア難民を取材するためだった。

 レバノン政府が国境を封鎖すると、そのまま2カ月余り、カメラを回し続けた。

 取材の成果は、昨年NHKで放送された「レバノンからのSOS」などの番組に結実した。2カ月分の生活費のために腎臓を売った青年、失意の焼身自殺。過酷すぎる現実の一方、子を養うためにしてきた売春から脱したある女性は、マスクを縫う新たな仕事のために縫製を教わりながら、「学ぶのは楽しい」と目を輝かせる。

 取材には通訳を兼ねたコーディネーターの女性だけを伴い、自らカメラを担いで入る。最初の1週間で手当たり次第に100人ほどに会い、「主人公」を見つける。

 日常のなにげない会話こそを撮りたいから、カメラを全く意識されなくなるまで、とにかく毎日通う。最終的にカメラが映し出すのは、ときに目の前でDVが起きるほど、自然体の姿だ。妹を殴る兄を映したら、今度は何が兄にそうさせたのか、背景に迫っていく。

 こうしてカメラを手に様々な現場に入るようになって、22年になる。

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