新型コロナウイルスのワクチン接種が加速するなか、ワクチンの供給不足を理由に新規予約を停止する自治体が続出している。菅義偉首相が全国に「1日100万回接種」の号令をかけて目標に届いたいま、何が起きているのか。
大阪市は2日、診療所による個別接種と区民センターでの集団接種で、12日以降の新規接種の停止を決めた。市は19日以降に供給されるワクチンについて、国に約53万回分を要求しているが、見通しは立っていない。そのため2回目接種分のワクチンが足りなくなる懸念があり、1回目の新規予約を停止した。
松井一郎市長は2日、記者団に「8月以降のファイザー製ワクチンの供給量が見通しが立っていない。高齢者の2回目接種ができない可能性がある」との見通しを示し、「市民や医療機関の皆さんには大変ご迷惑をおかけするが、ご理解いただきたい」と呼びかけた。
大阪府は、感染の第4波が直撃し、東京を超える感染者が出て、療養者の1割程度しか入院できない事態に陥った。今後、「出口戦略」に向けて、ワクチン接種が進むことが必須だとする。
それだけに、大阪市などで医療機関へのワクチン供給の抑制や集団接種会場の閉鎖といった事態が生じていることに危機感を持つ。吉村洋文知事は2日に河野太郎行政改革相を訪れ、感染リスクが高い地域に重点的にワクチンを供給するよう求めた。
接種を担う現場の診療所からは、方針転換に困惑の声が上がる。
「休止なんて簡単に言わないで」 接種枠を増やしていた診療所も
大阪市此花区の伝法高見診療所では12日以降に36人が1回目の接種を予約していたが、受けられなくなった。川崎美栄子所長(72)は「ごめんなさいと電話しなければいけない。診療所が悪いと思う人もいるのでは」と声を落とした。6月中から新たに日曜日や平時午後の予約枠を増やしてきた矢先だった。
市内の別の診療所の男性事務…

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