裏街道の技術の粋 消えゆく京都の機械捺染を追う

田中ゑれ奈
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 西陣織や友禅染などの高級路線でイメージされがちな京都の染織産業。その裏で、明治末~昭和期に庶民の生活を彩り、一時代を築いた機械捺染(なっせん)という技術がある。京都工芸繊維大学美術工芸資料館(京都市左京区)は忘れられつつある機械捺染に注目、研究を続けてきた。開催中の「キモノからインテリアへ―住空間を彩った機械捺染」展で、その最新の成果を紹介している。

 日本の機械捺染は1898年、京都の染色業者が英国から輸入したローラー捺染機から始まった。手染めの代わりに文様が彫刻された金属の筒を使って布を染める技術は革新的で、やがて機械の国内生産も始まり全国に広がる。

 機械捺染では西陣織を模倣した図案のほか、かすりの糸の流れや絹の光沢、絞り染めの凹凸といった風合いまで精巧に再現された。高度経済成長期に欧米の影響で流行したポップデザインの洋服生地や、アフリカ風の意匠で現地向けに輸出されたアフリカンプリントなどにも展開。生活の洋式化に従い、需要はやがて着物用の反物からカーテンや布団、こたつカバーなどに移っていく。

 現在はインクジェットプリントの普及などで担い手が激減し、存続の危機にある機械捺染。並木誠士館長は「安価なコピーの大量生産品だとあまり評価されてこなかったが、図案家や彫刻家の高い力量あればこその優れたコピー技術。西陣や友禅が表街道だとすれば裏街道の技術の粋が、機械捺染には表れている」と言う。

 7月10日まで、4日休み。一般200円など。同館(075・724・7924)。(田中ゑれ奈)