部員1人、マネジャーも1人 でも「独り」じゃない夏

渡部耕平
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 グラウンドで、ユニホーム姿はただ1人。あとは監督と女子マネジャー。野辺地は、3人が力を合わせて練習に励んでいる。唯一の部員が、主将の田中成明(せいめい)外野手(3年)だ。青森大会では六戸、六ケ所と連合チームを組む。「人数が少なくても勝てることを見せたい」。打線の軸になる左の強打者。闘志を内に秘め、バットを振り続ける。

 打撃練習で1日200球を打ち込む。村岡需(もとむ)監督が投げる球を振り抜くと、打球はライナーで外野に飛んでいく。監督が赴任した4月からマンツーマンの指導を受け、広角に打ち分ける技術が確かなものになってきた。「ほかの部員がほしい気持ちもあります。でも、1人だと練習量が多くなるのがいい」と、前向きにとらえている。

 練習を見守るマネジャーの菊地蒼(あおい)さん(2年)は、春からの成長に目を見張る。「長打が増えただけでなく、ランナーの状況や守備位置を見て、狙った方向に打てるようになってきたのです」

 以前は右足の開きが早く、一塁へのゴロや右翼への飛球が多かった。フォーム改善のため、村岡監督に勧められたのが、重さ5キロのメディシンボールを使ったトレーニング。両手で持ち、左右に大きく動かす練習を4月に始めた。

 体の軸を安定させながら重心を移動させる。コツをつかむと、打撃での体重移動もスムーズになり、打球が勢いよく飛ぶようになった。打撃練習のあとは3人で球拾い。広い外野を回ると20分はかかる。それも今では、うれしい悲鳴だ。

 手ごたえを感じたのは、4月下旬の十和田地区大会。連合チームと三本木の試合で、逆風にもかかわらず、あと少しで本塁打となる打球を右翼フェンス際まで飛ばした。

 1年前を思い出す。夏の独自大会後に3年生2人が引退し、部員が自分だけになった。退部も頭をよぎったが、すぐに考え直した。「自分1人のために、監督もマネジャーも頑張ってくれる。2人のためにも続けていこう」

 今、夏の大会を前に強く思う。自分は「独り」じゃない。同級生が球拾いを手伝いに来てくれたり、OBが励ましに訪れたり。「いろんな人たちに支えてもらって、感謝の気持ちがわいています。自分のバットで点を取って、恩返しをしたい」。目標をズバリと言った。「本塁打を打ちます」(渡部耕平)