第2回官邸主導というより側近主導、コロナで露呈した「弱点」

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聞き手・蔵前勝久
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 7年8カ月間にわたって政権を運営し続けた安倍政権とはどのようなものだったのか。そして、日本に残したものとは。内政、外交、それぞれの視点から識者たちが語る。

「未完の最長政権」第4部第2回 牧原出・東大教授

 ――安倍政権は、官邸主導をめざした平成の改革の到達点に見えます。

 「政治主導の到達点は、民主党政権でした。ただ、民主党政権では失敗に終わりました。政治主導には与党と官邸が一つの大きなチームになれるかが大事なのですが、プレーヤーが個々バラバラに走り出したためです。自分たちがやりたかった政治に、自分たちの実力が届かず、『民主党政権』を担う力が民主党にありませんでした」

 「安倍政権は改革の到達点に見えるかもしれませんが、与党幹部と官邸による側近主導であり、そこでは閣僚や政務三役は原則として排除されています。そのための改革が安全保障を中心とした外交施策の展開を図る仕組みを作ること。国家安全保障会議(NSC)です。だが、これは、平成の改革とは別の安倍路線でしょう」

 まきはら・いづる 政治学、行政学。1967年生まれ。東北大教授などを経て現職。オーラルヒストリーを活用し、御厨貴・東大名誉教授とともに武村正義元官房長官、野中広務自民党幹事長らの証言録を出版。著書に「『安倍一強』の謎」「崩れる政治を立て直す―21世紀の日本行政改革論」。

 ――官邸主導政治としては評価はできませんか。

 「それも、安保法制の2015年まででした。憲法解釈の変更を含む安保法制では野党と激しく対立するので自民党はまとまりました。その後、モリカケ問題が起き、政権ができて数年経つと、やはり結束が失われてゆきます。その結束を再生できないのが菅政権。与党はバラバラです」

 「そもそも安倍政権の7年8カ月は特に内政上の大きな課題がない点でラッキーでした。震災も原発事故も、リーマン・ショックのような経済危機もなかったため、うまく政権運営できたように見えます」

 ――政府内では熊本地震での政府対応は官邸主導の好事例とされています。

安倍政権の後半期に東日本大震災が起きていたら「危なかった」と牧原氏は指摘します。記事の後半では、過去の卓越したリーダーや官邸官僚について掘り下げて聞きました。

 「熊本地震杉田和博官房副…

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