勢い増す濁流、避難の呼びかけなく…「自分で動くしか」

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 斜面に沿うように並ぶ家々を、大量の土砂と雨水がなぎ倒していった。静岡県熱海市伊豆山(いずさん)で3日に起きた大規模な土石流。急坂に囲まれた地域で、断続的に複数回起きたとみられ、女性2人が死亡し、安否不明者の確認が続く。大雨の被害は、沼津市御殿場市など静岡県の広範囲に及んだ。

 沼津市大岡の黄瀬川大橋は3日午前10時ごろ、増水の影響で橋脚が沈み、橋の中ほどがV字形に折れ曲がった。県によると川沿いの家屋も流された。住民は避難しており、無事だった。

 橋から50メートルほど離れた自動車修理店に勤める女性は2階で仕事中、「ドーン」という聞いたことのない大きな音を聞いた。

 ベランダから川を見ると、橋が折れていた。さしかかっていたバスは異変に気づき停車したが、数台の車や自転車はそのまま通過したという。「橋がもっと折れたら、車が流されてしまう」と警察に通報。周辺では大規模な交通規制が敷かれた。

 折れた橋の角度は、少しずつ深くなっているように見えたという。「まさか橋が落ちるなんて」と話した。

 黄瀬川の15キロほど上流の御殿場市大坂地区では、10世帯が床下浸水した。市によると、川に流れ込む水が逆流し、側溝からあふれ出たことが原因とみられるという。

 近くに住む女性は、午前中に川の様子を見たところ濁流が勢いを増しており、「身の危険を感じた」という。自宅の被害はなかったが、高齢の両親は早々に市内の親族宅に避難させた。「避難の呼びかけはなく、自分で判断して動くしかなかった」と話した。市内では、他の地区でも床下浸水があった。

 富士市内でも江尾江(えのおえ)川の水があふれ、市によると約200棟で浸水被害があるとみられる。自動車販売会社を経営する男性(41)が車両置き場を見に行ったところ、販売用の中古車約10台が水につかっていた。「こんなことになるとは」。座席あたりまで浸水した車もあるといい、「(故障していたら)もう、しょうがないですよね」と話した。