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アルツハイマー病新薬広がる波紋 米下院も調査へ

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江口英佑、編集委員・辻外記子 ニューヨーク=真海喬生
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アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」=米バイオジェン提供
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 アルツハイマー病の治療薬として米国で条件付きで承認された「アデュカヌマブ」をめぐり、波紋が広がっている。米食品医薬品局(FDA)の独立委員会のメンバー3人が抗議のため辞任し、米下院も調査する方針だ。日本では審査中だが、専門家は時間をかけて判断すべきだと指摘する。

 アデュカヌマブは認知機能の低下を長期間抑える世界初の薬として、6月7日に承認された。追加治験による検証が条件となっており、十分な効果がなければ取り消される可能性もある。治験の終了は2029年を見込んでいる。

 昨年11月にFDAの独立委員会が議論した際は、有効性が証明されていないとして委員のほぼ全員が承認に反対した。そのメンバー3人が「FDAの委員会の意見の扱い方に失望した」などとして辞めている。

 米バイオジェンの広報担当者は辞任について「お伝えできることはない」としている。

 アルツハイマー病 代表的な認知症で、患者全体の約7割を占める。脳に「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質がたまることなどで神経細胞が破壊され、認知機能が低下するとされる。症状はもの忘れから始まり、中等度になると、自分のいる場所などがわからなくなる。さらに重度になると家族ら親しい人の顔もわからなくなり、最終的には寝たきりになる。根本的な治療法は見つかっていない。病名は約100年前に病気を報告したドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーに由来する。

 米国では使われ始めている。開発したエーザイと米バイオジェンは価格の目安として年5万6千ドル(約620万円)と示した。米下院監督・政府改革委員会は「高額な価格と有効性に疑問があるにもかかわらず承認に至ったプロセスに深刻な懸念を抱いている」として、調査を表明した。

 FDAは承認に際し「申請されたデータは非常に複雑で有効性について不確実性が残っている」と認める。一方で、「治療は急を要する。600万人以上の米国人が病気にかかっており高齢化に伴い患者が増えると予想される」とした。

 製薬業界に詳しいクレディ・スイス証券の酒井文義氏は「FDAは患者数が増えるなか、新薬が開発されないことに危機感があったのではないか。社会性の高い病気に対して追加治験を義務づけるというのは聞いたことがない。足かせをはめないと、みんなが納得しないということだろう」と話す。

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米バイオジェンの研究所=エーザイ提供

 今回のFDAの承認について…

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