第9回ビジョン見えない対中外交、尖閣の世論形成は「後手」

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聞き手・倉重奈苗、佐藤武嗣
写真・図版
インタビューに答える江藤名保子・学習院大教授=6月9日、学習院大、佐藤武嗣撮影
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 7年8カ月間にわたって政権を運営し続けた安倍政権とはどのようなものだったのか。そして、日本に残したものとは。内政、外交、それぞれの視点から識者たちが語る。

「未完の最長政権」第4部第9回 江藤名保子・学習院大教授

 えとう・なおこ 1976年生まれ。中国政治、東アジア国際政治。米スタンフォード大学院国際政治研究科修了。慶応大で博士号。ジェトロ・アジア経済研究所などを経て学習院大法学部教授。著書に中国の愛国主義の歴史や日中関係への影響を説いた「中国ナショナリズムのなかの日本」(勁草書房)など。

――第2次安倍政権は当初、「対中牽制(けんせい)」を強調していましたが、2017年5月に突如、中国の経済圏構想「一帯一路」に協力を表明して「対中協力」に軸足を変えました。きっかけは習近平(シーチンピン)国家主席にあてた安倍晋三首相の親書でした。

 首相親書をめぐっては、日本外交の足並みが乱れたと外から見て感じました。スリランカのハンバントタ港など、軍事戦略的に重要な港湾が「一帯一路」に完全に組み込まれている実態が明らかになっていたことからすれば、警戒するのが当然で、方針転換には唐突な印象がありました。

 ただその後、日本政府は協力の前提条件として「透明で公正な調達」「プロジェクトの経済性」「受け入れ国の財政健全性」を加える修正をし、中国をルールに基づく枠組みに取り込むことを打ち出しました。経済のためには中国の方針に従います、という誤ったメッセージは結果的に回避できたと思います。

 中国は日本との第三国市場協…

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