山川穂高に落合博満の気配を感じる

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竜党のつぶやき 中日ドラゴンズへの深すぎる愛

 7月4日のヤクルト戦。

 六回裏に三ツ俣大樹のソロ、八回裏にダヤン・ビシエドの2ランと2本のホームランが出て、辛うじて引き分けに持ち込んだ。

 例年以上に「ホームランが出ないなあ」と、ため息が出まくりの日々が続く中で、これは珍しい試合だったとさえ言える。

 7月4日時点で、中日のホームラン数は43本でセ・リーグ最低。トップの巨人は102本。むろん狭い東京ドーム特有のホームラン(「ドームラン」)も多い巨人と、広いバンテリンドームを本拠とする中日とでは単純比較はできない。だが、それを考慮しても、2倍以上の差は中日打線の長打力不足が目に余るというしかない。

ホームランの魔力

 中日のホームランの少なさを、今年強く意識してしまうのは、人々を一瞬でとりこにするホームランの魔力を、2人のスターが存分に見せつけているからだ。

 ひとりは海の向こうのエンゼルス・大谷翔平。朝の情報番組に、テロップで「大谷が25号です」「26号です」とニュース速報が飛び込んでくるほど、大谷のホームランは国民的関心を集めている。

 日本では「二刀流」といっても、160キロを超える速球の印象が強く、私のイメージでは「投手」だった。だが、今は右へ左へと、面白いように110メートル、120メートルを超えるような弾丸ホームランをかっ飛ばしている。

 ヤンキースと対戦していた6月30日(日本時間)には、27、28号を連発。中日ファンなら誰でも知るツイッターの主はすぐこうつぶやいた。

「中日の日本人野手 28本塁打

 大谷翔平 28本塁打

 並ばれてる……」

 分かりすぎるな、この気持ち。

中日ドラゴンズにまつわる話題をお届けします。コラム「竜党のつぶやき」は毎月第1火曜日に配信します。

 もう1人は阪神の佐藤輝明だ。ピンポン球のようにすっ飛んでいく、とは彼の打球のことだ。1946年に記録された大下弘の新人左打者ホームラン記録(20本)を抜くのも時間の問題で、セ・リーグの新人としては長嶋茂雄以来の1試合3ホームランとか……こちらも派手すぎる。

 ドラフト時の評を見ると、ここまでとは思わなかった。「ロマン枠スラッガー」で、「コンタクト能力に不安を残しており、根気よくチャンスを与えられるかがカギになる」という評価(「野球太郎ドラフト答え合わせ 1998―2020」)がうそのような圧倒的な活躍ぶりではないか。

 最近は多少苦しんでいるようだが、三振の多さなんかホームランが多ければ何も気にならない。

 江川卓氏は、テレビのスポーツニュースで「球史に残るホームランバッターになる。300から400本打つ」と言い切った。三冠王を3度取った落合博満・元中日監督の名前を持ち出し、「落合博満さん以来の名打者になると確信した」と賛辞を送った。打球が詰まったのにフェンスを越えホームランになるのは「落合さんしかいなかった」という。

 落合氏と言えば、大谷の活躍をさまざまな角度から分析したNHK「クローズアップ現代」でも、生放送のゲストで呼ばれていた。

 そもそも日本ハム入り当初から、大谷の「二刀流」を「やればいいよ。楽しみ」と支持していたのが落合氏だったし、ゲストの格としては申し分ないが、一般視聴者にわかりやすい言葉で解説するタイプでもないので、クロ現に選ばれたのはやや意外だった。

 落合氏の話と言えば……。

 6月11日の夜のことだった。

 西武―中日戦は九回裏、代打中村剛也が又吉克樹から右前安打を放ち、一塁走者の岸潤一郎が本塁を狙ったがタッチアウト。ドラゴンズは6―5で辛うじて逃げ切ることができた。

■落合博満論

 ほっと一息つき、ネットニュースをチェックしていたら、「落合博満論を書きました」というメールが届いた。「高円寺純情商店街」で直木賞をとった作家・詩人のねじめ正一さんからだった。

 オピニオン面で「申告敬遠」について企画したときに一度、お話をうかがったことがある。そのときの雑談で、ねじめさんが書いた「落合博満 変人の研究」の話もいろいろとお聞きしたのだった。

 選手・長嶋茂雄への激烈とも言える愛で有名なねじめさんだが、FA宣言で巨人に移った1993年以降は、熱烈な落合支持者となった。ねじめさんに言わせれば、「落合はホヤ」なのだ。

 初めて食べるには勇気がいるが、一度口にするとその歯ごたえや奥深い苦み、滋味深いうまさのとりこになるから、だ。

 今度はどんな落合論になったんだろうとメールを読み進めると、こう書き添えてあった。

 「西武の山川穂高をからめて書きました」

 ん? 山川? このメールを読む3時間ほど前、山川は大野雄大から左中間へ豪快な9号2ランをたたき込んでいた。「大野さあー、不調な選手をカード第1戦で起こしちゃだめだよ」と舌打ちしたばかりだったのだ。

 ただ「落合と山川」の組み合…

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