谷に盛り土「崩壊なら土石流に」 識者説くより強い規制

瀬川茂子、竹野内崇宏
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 静岡県熱海市で発生した土石流で、盛り土の崩落との因果関係を指摘する声が出ている。斜面に住宅や道路を建設するために、土を盛って平らな土地を造成する盛り土は、大雨や地震で崩れる被害が相次いでいる。

 2014年10月には、横浜市緑区で許可を受けずに造成された盛り土が台風の大雨で崩落。崖下のアパートにいた住人男性が死亡した。17年10月の台風21号でも、大阪府岸和田市で崩落した盛り土が川をせき止め、複数の車が水没して女性が死亡した。13年にも、東京都日野市の盛り土が台風の大雨で崩れ、近くに住む女性がけがをした例がある。

 京都大防災研究所の釜井俊孝教授(応用地質学)によると、谷はもともと周囲から水が集まりやすく、土砂で谷を埋めたからと言って地下水が集まる仕組みは変わらない。地盤が水を多く含めば弱くなり、もともとの地形との境界が滑って土砂崩れのきっかけになることもある。

 今回の土石流が発生した谷の最上流部も、土で埋められ、道路などに使われていたとみられる。釜井さんは「谷に盛り土をするのはダムを造るようなもの。うまく排水しなければ盛り土の中に水がたまり、崩壊すれば土石流につながる」と話す。

 盛り土をする場合には土を締め固め、周囲から集まる地下水や雨水を効率良く排出する工事が欠かせない。ただ、盛り土に住宅を建てるような場合はこうした対策が重視される一方、小さな谷を埋めて道路を通すといった場合は対策がおろそかになる例があるという。開発で出た不要な土砂(残土)の処分先にもなるため、「残土を捨てて土地も生み出せる一石二鳥で、不用意に盛り土が造られやすい」と話す。

 釜井さんは「崩落した盛り土が谷の土砂を巻き込みながら土石流の規模を大きくしただけでなく、盛り土の崩壊そのものが土石流の原因だった可能性もある。全国での調査とより強い規制が必要ではないか」と指摘した。瀬川茂子、竹野内崇宏)