現代国語の正解とは?小川洋子が挑む自作小説の入試問題

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太田啓之
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 現代国語の入試、特に読み手によって抱くイメージが異なる小説の入試問題には、万人が納得する「正解」があるのか。公正な採点は可能なのか。疑問を感じたことのある受験生や元受験生は少なくないでしょう。

 そこで、ベストセラー「博士の愛した数式」などで知られる作家の小川洋子さんに、自作の長編「ことり」から出題された東北大の入試問題(2019年度前期「国語」)を解いてもらい、「小説の入試問題の正解とは何か」について考えていただきました。

 問題文の全文、大手予備校の作成した解答例も掲載しています。あなたも、小川さんと一緒に「解くたのしみ」「考えるたのしみ」を味わってみませんか。

小川さんの答え、予備校の解答例とどう違う?

 東北大の入試問題冒頭には「次の文章は、唯一の肉親であった兄を亡くした『小父(おじ)さん』の日々を描いている。兄は鳥のさえずりのような言葉を操る存在であり、その言葉を正しく理解できたのは『小父さん』だけだった」という、作品についての短い説明がある。

 小川さんは「こんな人たち、いるわけがない、と思う受験生もいるかもしれないけれど、独自の言語を作り出して使っている人たちは実際にいて、それがこの小説を書くきっかけの一つにもなっています」と話す。「自分の価値観の外の世界で生きている人々を拒絶するのではなく、少しずつでも小父さんとお兄さんに寄り添い、親愛の情を抱けるかどうか。それが問題を解く上でも大事かも」という。

 小父さんは孤独を慰めるため、公民館の2階にある図書館の分館で、鳥に関する本を探しては、順番に読んでいる。

 問題文中には、小父さんが本を手に取り、鳥が出てくる箇所を見つけると、「まだ誰の目にも触れていないページに、長く身を隠していた鳥たちは、『やれやれ』といった様子で、小父さんの手の中でようやく翼を広げるのだった」という描写がある。

 問2はこの「やれやれといった様子」について、40字以内で説明するよう求めている。

 小川さんの答えは次の通り。

「長い間閉じ込められたページ…

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