「どんな姿でも会いたい」 捜索見守る妻、止まった時間

【動画】土石流の捜索現場=福留庸友撮影
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 大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山(いずさん)の現場周辺では、捜索活動が5日も続いた。

 小川慶子さん(70)は、夫の徹さん(71)の行方がわかっていない。5日午前、被災後初めて自宅近くの様子を見に訪れた。

 被災前日から用事で県外に出ていて、4日に熱海に戻った。自宅が流されていないことは確認できたが近づけず、室内の様子は分からない。

 最後に連絡がついたのは土石流が起きた直後の3日午前11時6分。家族のLINE(ライン)グループでやりとりする中で、徹さんから「サンキュー!」というスタンプが届いた。

 その3時間半前には「雨 かなり強いけど 伊豆山は 何でもないよ」というメッセージもあった。

 伊豆山地区は「地盤が固い」といわれ、災害もなかった。「まさかこんなことが起こるとは思っていなかった」と慶子さん。土砂に流されていく徹さんを見たという近所の人の話も聞いた。「今は時間が止まったまま。どんな姿でもいいので、早く夫に会いたい」

 徹さんの小学校の同級生の高橋薫さん(72)も、「ひょいと出てきてほしい」と願う。「真面目で気がきき、優秀な人だった」。被災後に「(徹さんを)見かけたよ」という住民もいた。「喜んだり悲しんだり、振り回されている感じ。だめかもしれないという思いもあるけれど、俺は見つかると信じているよ」

 最初の土石流は、3日午前10時半ごろに起きた。被災者の生存率が著しく下がるとされる「発生72時間」は、6日午前に迫る。

 約170人態勢で捜索にあたる警視庁の高橋友美・現地広報官は5日夕、記者団の取材に「大量の土砂がある中、下に人がいないか確認しながら撤去を進めなければいけない」と作業の難しさを語った。

 場所によっては、救助隊員は胸あたりまで土砂に埋まり、中にあるガラスや釘などの危険もある。急斜面が多いことも救助を難しくしているという。「速さと慎重さの両方が求められるが、一人でも多くの人を救助したい」

 捜索現場では5日午後1時ごろに1人が発見されたが、その場で死亡が確認された。土石流による死者は計4人になった。