迫る「72時間」捜索続く ボランティアの募集始める

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 静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で発生した土石流被害の現場では5日、救出の可能性が下がるとされる「発生から72時間」が迫るなか、懸命の捜索作業が続いた。救助された2人の死亡が確認され、死亡者は計4人になった。5日午後8時現在、64人の所在が分かっておらず、県と市は氏名などを公表した。

 市によると、死亡した1人は同市伊豆山の鈴木チヨセさん(82)。倒壊した住宅から4日朝に救助され、病院に搬送されたが、同日午後に死亡が確認されたという。死亡したもう1人も女性で、県警などが身元の確認を急いでいる。

 安否不明者をめぐり、混乱も起きている。市は当初、安否不明者を約20人と公表していたが、4日夜に「正確な人数を把握できていない」として、住民基本台帳に基づく、確認作業に方針を転換。一時は215人中、147人の所在が分かっていないとしていたが、64人まで確認が進んだ。

 所在不明者の確認を急ぐため、県と市は同日、氏名や住所、年齢などを公表する方針を決めた。県は「当初は根拠がはっきりしない中、20人という数字があったが、本当の安否不明者は何人いるのかという状況だ。人命救助を最優先に考えた」としている。

 一方で、県は5日、危機管理部の職員5人を派遣。今までは情報収集のための2人を派遣していたが、市の業務を支援する必要があると判断したという。

 土石流は3日午前10時半ごろに発生。河口から約2キロさかのぼった山中で起き、全長約1キロ、最大幅は約120メートルにおよび、約130棟(127世帯、215人)に被害をもたらした。

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 県と熱海市は5日、住民基本台帳に記載され、所在が分かっていない計64人の氏名や性別などを公表した。情報は、県のHPでも確認できるようになる見通し。安否不明者に関する情報提供は熱海市災害対策本部(0557・86・6443)へ。

 県によると、公表した地域(熱海市伊豆山)以外にも、県警や消防に対して連絡が取れないなどの相談や通報が来ているという。こうした情報は通報者の承諾をとった上で、順次公表する考えだ。

伊豆山地区 全域で断水 電気・ガスも 復旧作業進む

 熱海市では水道や電気などライフラインにも影響が出ている。県によると、土石流の影響で、同市伊豆山地区全域で断水し、最大1100軒程度に影響が出ている。この地域については、4日から簡易水槽を5カ所設置し、給水車4台が活動しているという。

 また、同地区の一部で電気やガスの供給ができなくなっており、東電などが復旧作業を進めている。

 5日午後1時現在、県によると、562人がホテルに避難。ホテルには災害派遣医療チーム(DMAT)や災害派遣精神医療チーム(DPAT)を派遣し、被災者の支援に当たっている。

熱海市、ボランティア募る(土砂かき出し、避難者介護など)

 大規模な土石流が発生した熱海市が5日、災害ボランティアの募集を始めた。事前登録制で、市社会福祉協議会のホームページから申し込む。当面は対象者の居住地を富士宮市以東の県内に限る。募集人数などは未定という。

 活動内容は土砂のかき出しや避難住民の介助などを想定している。現在、被災地では自衛隊などによる救助活動が続いており、関係者以外は近づくことができない。このため、実際の活動開始はしばらく先になるという。