第20回米半導体業界トップが語る 日米、米中摩擦の違いとは

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ワシントン=青山直篤
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断層探訪 米国の足元 第四部⑤

 冷戦終結後、世界はグローバル化をひた走り、企業はサプライチェーンの効率化を前提として経済成長を追求してきた。膨大な富が生まれる一方、格差の拡大や地域社会の弱体化は、民主主義を弱めた。新型コロナウイルスがもたらした危機は、時代の転機を告げている。ただ、一国に閉じこもる保護主義も答えにはならない。激動する市場と、統制色を強める国家とが織りなす「コロナ後」の世界。動揺するサプライチェーンの「断層」で針路を探る人々を訪ね、各5回構成で報告する。

 高速通信で行き交うデータや知的財産が、国家や企業の競争の行方を決める21世紀。その基盤の半導体は、米中対立も背景に、20世紀の石油と同じような戦略物資となった。国境をまたいで複雑に入り組む供給網のなかで、各国が自国産業に有利な「陣取り」を目指すパワーゲームが始まっている。かつての日米半導体摩擦とも異なる構図について、米産業界はどうとらえているのか。米半導体工業会(SIA)のジョン・ニューファー会長に聞いた。

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米半導体工業会(SIA)のジョン・ニューファー会長=2019年6月21日、ワシントン、青山直篤撮影

 ――巨額の財政出動で政府の役割を大きく広げようとするバイデン政権のもと、米国でも、国家的支援によって国内の半導体生産を強化しようとする機運が著しく高まりました。この潮流をどうみていますか。

 「まず、コロナ危機が、製品供給網(サプライチェーン)と戦略物資の確保について、誰の目にも明らかな形で警鐘をならしたことが大きかったと思います。半導体不足で生産が滞った車がわかりやすい例ですが、電子機器にも、データサーバーにも半導体は使われている。安全保障上の重要性が改めて脚光を浴び、世界中の政府が対応を急ぐ結果につながりました」

 「さらに、米国は最先端半導体の製造分野では技術革新に後れを取り、台湾と韓国に依存している。危機に際して国内に十分な生産能力がないという弱点の認識と、技術革新の主導権を取り戻さなければならないという危機感とが、米政府を動かす要因だったとみています」

 ――半導体は米中貿易・技術摩擦の中核でもあります。ただ、米議会や政権という「国家主導」の米中摩擦と、SIAなど「民間主導」だった日米半導体摩擦とは構図が違いますね。

 「いくつかの点で大きな違い…

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連載断層探訪 米国の足元(全30回)

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