消毒液のききめはどれくらい?

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「消毒薬のききめはどれくらい?」

京都府・長谷川凜さん(中1)の質問

ののちゃんのDo科学

ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。 science@asahi.comメールする

 ののちゃん 新型コロナウイルスがはやり始めてから、お母さんに「消毒しなさい」ってよくいわれるんだ。消毒すると、ばい菌やウイルスはいなくなるの?

 藤原先生 すべていなくなるわけじゃないの。消毒というのは、ばい菌やウイルスを減らすこと。ほぼすべて殺してしまうのは「滅菌」といって、医療器具の殺菌などがそうね。

 のの アルコールって、手につけるとすーすーして気持ちいいね。

 先生 アルコールは消毒薬の一つね。消毒薬はききめによって強いもの、中くらい、弱いものと3つあって、強いものは病院などで機器の消毒に使われるけど、人に使うとひふをいためてしまう。手や指を消毒するのは、効果が中くらいか低いアルコールなどの消毒薬ね。

 のの へえ、いろいろあるんだ。

 先生 実は消毒薬は、手術のときに大活躍しているんだよ。手術で消毒薬が広く使われるようになったのはいまから150年ほど昔。それまでの手術は、手術後に傷口からウイルスやばい菌が入り込む「敗血症」という病気にかかり、手術は成功しても亡くなる人が多かったんだ。あるとき、イギリスのあるお医者さんが、消毒薬を使って死者をものすごく減らすことに成功したの。それで、手術の前には器具やお医者さんの手、患者さんのひふを必ず消毒するようになったんだ。

 のの アルコールをかけるとなぜウイルスや、ばい菌が減るの?

 先生 アルコールはウイルスの体をつくっているたんぱく質をこわしてしまうの。ききめが強いと、遺伝情報を持った核酸までこわすんだ。でも、きかない相手もいるんだよ。

 のの てごわいね。

 先生 うん。細菌の中には、破傷風菌やボツリヌス菌など、アルコールではこわせないほど硬い殻を作るものがいるの。ウイルスにも、体の表面をおおう脂の膜(エンベロープ)があるものと、ないものがあるの。アルコールはこの膜をこわすので、膜がある新型コロナウイルスにはききめがあるけど、例えば食中毒をおこす「ノロウイルス」は膜がないのでききめが弱いんだよ。

 のの お店にはいるとき、アルコールを手にちょっとしかつけない人がいるけど、ちゃんと消毒できているのかなあ。

 先生 しっかり1プッシュ分を出してびしょびしょになるくらいつけないとききめがないわ。指先や指と指の間などもふくめて、消毒薬がきちんと全体に行きわたるようにつけて、かわくまで30秒から1分ほどすりこめば大丈夫だよ。

 のの プシュ! 手を洗わなくていいので簡単だ。

 先生 いやいや、手は洗わなくちゃダメだよ。手が汚れていると消毒薬のききめが減ってしまうの。消毒薬の種類によっては汚れだけじゃなく、せっけんや水道水がついていてもききめが減るものもあるので、まず手を洗い、しっかりと乾かしてから消毒をすることが大事よ。(取材協力=東京薬科大学薬学部臨床微生物学教室の中南秀将教授、構成=姫野直行)