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「もう死にたい」 ゴルファー三浦桃香を追いつめた太陽

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後藤一也
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 朝起きて、鏡を見る。

 「やっぱり治っていない。もうやってらんない」

 毎朝、ブツブツができて、パンパンにむくんだ自分の顔を見るのが嫌だった。

 2年前の夏のことだ。

 ゴルファーの三浦桃香さん(22)は、渋野日向子、原英莉花ら1998年度生まれの「黄金世代」の一人として、注目されてきた。

 手足の長さと長身をいかした力強いスイングから繰り出す飛距離はトップクラス。その笑顔にファンも多く、プロテスト合格前から、メルセデス・ベンツなど複数の企業のスポンサーがついていた。

顔や手に謎の発疹

 だが、3度目のプロテストを数カ月後に控えた2019年夏は、ゴルフ人生で一番つらい時期だった。

 一日中外でプレーした後は、37度台の微熱や全身のだるさに加え、顔や手に謎の発疹ができた。10代後半から続く、紫外線による「光アレルギー」の症状だった。

 「どうしてもゴルフができない」。母に伝え、病院に行くと「アレルギーの症状が強くなっている」と医師に指摘された。さらに、こうも言われた。

 「ゴルフをしてもいいけど、外に出るのは、1日4~5時間まで。しんどくなるから」

 ゴルファーは、日なたに出るのが仕事だ。試合で毎週のように遠征が続き、移動しながらのホテル暮らし。ほとんど毎日、屋外で練習をする。

 うまくなるために、できるなら1日12時間、ゴルフ場にいたいと思っていた。医師の助言は事実上、ゴルフを続けるのは厳しいと言われているようなものだった。

 日焼け止めを何度も塗り直し、練習ではつばの大きいハットをかぶり、長袖を着るようになった。できる限りの対策をしても、集中できずに予選落ちして、苦しかった。

 プロテストに受かりたい。試合で良い成績を残したい。そのためには練習したい。それなのに、練習すると体調を崩し、試合での成績が悪くなる。

 「私は何のためにゴルフをしているんだろう」。終わりのない悪循環に、悩む日々が続いた。

 そんな状態で迎えた19年秋のプロテスト。この日のためにがんばってきたのに、会場に着いて3時間ほど練習していると、もう症状が出た。しかも、いつもよりも強い。

 体調不良で成績が伸び悩む中、周囲の言葉が次第に三浦さんを追いつめていきます。記事の後半では、三浦さんがつらい決断と引き換えに手にした「幸せ」が明らかになります。

 すぐに病院に向かい、ヘルペ…

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