空気も常識も見ない彼女に託したこと 寺地はるなさん

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尾崎希海
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 空気に常識、暗黙の了解。雨夜の星と同じように、見えないけれど確かに存在するものが世の中にはたくさんある。大阪府在住の作家、寺地はるなさんの長編小説『雨夜の星たち』(徳間書店)の主人公、三葉雨音(みつばあまね)はそんな「見えないもの」が苦手だ。

 26歳の三葉は他人に感情移入できない性格を買われ、気疲れの多い通院の付き添いやお見舞いを代行する「しごと」をはじめる。

 〈察する、ということは基本的にありません〉

 初対面の依頼人には必ずそう説明する。してほしいことも、してほしくないことも、言葉にしてほしい。できないことは断るので遠慮はいらない、と。

 成人向け雑誌を買ってきて、という入院患者からのセクハラには「恥ずかしがることを期待してるならご期待に沿えませんね」。病気の娘と友達になってほしいと頼まれても、「後日指定された日時に伺います」。

 愛想笑いもお世辞もなし。他…

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