検察内でも「不公平」の声 現金受領の100人不起訴

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三浦淳、川嶋かえ 能登智彦、東郷隆、新屋絵理
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 元法相の河井克行被告と妻案里氏の起訴から1年。刑事処分を当時見送った被買収側100人について、市民団体の告発を受けた検察が全員を不起訴とした。会見ではその理由を「事件の特殊性」と強調したが、検察内部からは「処分基準が揺らぐ」と疑問の声もあがる。

不起訴と起訴の基準「選別が困難だった」

 「大規模な選挙買収の刑事責任を負うべきは河井克行氏であり、案里氏だ」

 東京地検の山元裕史・次席検事は6日の臨時会見でこう述べ、処罰対象は被買収側ではないと強調した。

 不起訴の理由については①被買収側の地元議員らがさらに買収する典型的な組織的買収ではない②(被買収側の)人選や金額は克行氏が決めた③地元議員らは金銭を求めておらず、やむを得ず受け取った――と列挙した。そのうえで「一部を起訴、一部を不起訴と一定の基準で選別するのが困難だった」と説明した。

過去には……現金5千円受け取って起訴されたケースも

 だが、買収と被買収は表裏一体の関係で、過去には被買収側の多くが処分されてきた。19年の青森県議選では現金5万円を受け取った元町議8人が略式起訴され30万~40万円の罰金刑を受けた。07年の岐阜県内の町長選では5千円を受け取った運動員49人に罰金10万円の略式命令が出ている。

 中堅検事は「検察の処分基準が揺らぎ、過去との均衡がとれず不公平感がぬぐえない」と打ち明ける。別のベテラン検事も「克行氏を立件するため、被買収側を不起訴にして有利な供述を引き出す取引をしたのではないかと怪しまれる」と危惧する。検事出身の弁護士は、不起訴処分で買収金を国庫に返還させる没収や追徴の規定が適用されず「公職選挙法が無視された」と批判した。

異例の処分「今後の捜査に影響も」

 当時首長や議員だった40人中、32人が今も現職のままだ。公選法では罰金刑以上が確定した議員は公民権が停止して失職するが、不起訴で失職を免れた形だ。

 元東京地検特捜部長の熊崎勝彦弁護士は「選挙の公正さを保つため買収と被買収の双方が厳しく捜査・処罰されるのが通例で、今回は異例と言わざるをえない。今後の捜査や処分に影響を与える可能性は否定できない」と指摘した。(三浦淳、川嶋かえ)

不起訴の張本人「もらい事故」

 「不起訴という判断を受け…

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