球速は誰にも負けたくない 常時130キロ狙う女子投手

聞き手・小林太一
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 女子高校野球が盛り上がっています。1997年から始まった夏の全国大会はこの10年間で出場校が増え続け、今年は過去最高の40校が参加します。兵庫県丹波市で7月24日に開幕し、決勝は8月22日に初めて阪神甲子園球場で開かれる予定です。女子野球界を盛り上げている選手たちに、競技の課題や未来を聞きました。

社会人チーム・森若菜さん

 二つ上の兄が野球をしていて、幼稚園の年長のときから遊び感覚でキャッチボールの相手をしていました。小学校に入学してすぐ学校のチームに入りました。中学の野球部では初めての女子部員でした。走り込みや筋トレは男子と同じメニュー。高校時代は女子のチームがだんだん増えてきた頃でした。強い学校でレベルが高い野球をしたくて福知山成美に進学しました。

 今年、夏の大会の決勝が甲子園でできるのは、それだけ女子野球が発展したんだと思っています。決勝の1試合だけでも、優勝するよりうれしい気持ちなんだろうな。私が小学校高学年から中学生のころは、まだ野球が男の子のスポーツという考えでした。女の子の競技人口はまだ少なくて、珍しいなっていうころです。子どもたちが憧れる選手たちで野球教室を開いて、さらに認知度を上げたいです。

 足が速い、球を遠くに飛ばせる、速く投げられる――。ひとつでもずば抜けて、すごい選手がいるだけで、試合を見に来てもらうきっかけになるはず。その1人になりたい。球速にこだわって常に130キロを出せるようになるのが目標です。83メートルだった遠投はトレーニングで10メートル伸び、自信につながりました。

 遠投で80メートルを超える女性は少ないです。男子のプロ野球では、入団テストの基準が90メートル以上とされています。100メートルを投げられれば、球速130キロが可能になるというデータがあるそうです。甘くはないですが、今年は100メートルを投げたいと思っています。

 高校生のとき、日本代表候補に残ったのに最終選考で落ちてしまいました。今回選ばれたのは本当にうれしかった。去年の7月に病気で2週間入院したんです。12月の合宿までに治したくて、担当の先生と相談して手術をせずに治療を続けました。今年こそ代表に入りたいという気持ちが強かった。

 最近は高校で女子の硬式野球部が増えるのと同時に、教員免許を取得した女子プロ野球のOBの方が部活で高校生を指導するケースが多くなっています。レベルが上がってライバルがたくさんできるのは良いことです。私は負けず嫌いな性格で、球速は誰にも負けたくない。どんな投手よりも一番速い球を投げられるんだという自信を持てるようにこれからも努力したいです。(聞き手・小林太一)

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 もり・わかな 奈良県出身、1998年生まれ。福知山成美高(京都)を卒業後、女子プロ野球選手になった。19歳のとき、自己最速の128キロを記録。抑えとして活躍し、昨シーズンから社会人チームのエイジェック女子硬式野球部に所属。遠投93メートル。