5分前に別れた姉、悲鳴の後に電話は切れた 発見願う妹

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山口啓太
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 「あのとき、一緒に逃げていれば」

 静岡県熱海市に隣接する神奈川県湯河原町に住む山口きく江さん(70)は、言葉を詰まらせた。熱海市伊豆山に住む姉の太田洋子さん(72)が土石流に襲われた後、行方不明になっている。姉宅は土石流に流され、親族や知人たちが繰り返し携帯に電話したが、つながらない。

 山口さんはあの日、近くの知人宅を訪ねる用事があり、直前まで姉の家でお茶を飲んでいた。姉は昨年、夫を病気で亡くしてから一人暮らしだった。

 午前10時半ごろ、窓から見える川の色がどす黒くなっていくのに山口さんが気付いた。次第に物が流れてくるようになり、「誰かが上でごみを捨てているのかな」と話した。20分ほどすると、近くの空き家が傾き消防の車両が巡回する様子が見えた。

 「早く行きな」。姉の言葉で家を出た。5分ほど歩いて知人宅に着くと、「たった今、太田さんから電話があり、『キャー』という悲鳴の後に電話が切れた」と告げられた。

 それから3日が過ぎた。海沿いの国道135号周辺では6日、太田さん宛ての泥だらけの年賀状3枚が見つかり、山口さんの手元に届いた。「姉ちゃんが私を助けてくれたと解釈しています。1分1秒でも早く見つけてほしい」

 年賀状を手渡したのは、運送…

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