コロナワクチン副反応 専門部会の報告基準や評価方法は

市野塊
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 新型コロナウイルスのワクチンについては、厚生労働省の専門部会が2週間に1度のペースで会合を開き、接種後に重大な副反応が生じていないかどうかを調べている。症状の報告基準や評価方法はどうなっているのか。また、公表される数字はどんな意味を持っているのだろうか。

 新型コロナのワクチン接種は予防接種法上の公的接種にあたる。法律に基づき、接種後の副反応が疑われるケースが医療機関から報告され、外部の専門家でつくる厚労省の部会で安全性を検討する。受けた報告は氏名や生年月日などを除いて、ワクチンの製造販売者に提供することもある。

 では「副反応疑い」とはどんなケースなのか。部会では、「接種による副反応」と「接種と因果関係のない偶発的な事象」のどちらかすぐに判断できないものとしている。これらの報告を分析し、接種との因果関係を個別事例について評価するだけでなく、集団として傾向をみるのが部会の目的だ。

 副反応疑いの報告基準は、すでにコロナワクチンの副反応として起こることが判明している重いアレルギー症状「アナフィラキシー」の場合、接種後4時間以内の全例の報告を求める。4時間経過後でも関連が疑われるものは報告してもらう。

 アナフィラキシー以外で入院治療が必要な例や死亡例は、ワクチン接種後に起きた「医師が予防接種との関連性が高いと認める」ものが報告の対象だ。死亡例は同じ基準で、医薬品医療機器法に基づいて報告されるものもある。

 医師が「関連性が高い」と判断した場合でも、本当にワクチン接種と関連があるかどうかはわからない。また、これ以外の報告を受け付けていないわけではなく、医師が死因を「老衰」として接種とは「関連なし」と判断しているケースも実際には報告されている。そして、報告例はすべて公表している。接種後の期間も限定せず、医師の判断に委ねている。

 ほかに、報告基準には入っていないが、積極的な報告を求めるものもある。けいれん、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄(せきずい)炎(ADEM)、血小板減少性紫斑病、血管炎、無菌性髄膜炎、脳炎や脳症、関節炎、脊髄炎、心筋炎、顔面神経まひ、失神を伴う血管迷走神経反射だ。

 こうした報告を受け、部会は、ワクチン接種による安全性が保たれているかを評価する役割を担う。アナフィラキシーは副反応として起こることがすでにわかっており、アドレナリン注射薬をうつことなどで対応できる。ただ、発症頻度や症状の重さが、海外での報告例よりも高くないかどうか調べる必要がある。

 このため、部会では、すべての報告のうち、国際的なアナフィラキシーの症例の指標である5段階の「ブライトン分類」で分け、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症していて比較的症状が重い「3以上」に該当するものを注視。接種100万回あたりの発症頻度を海外例と比較するなどして監視を続ける。

 死亡例は、報告を受けたものを一例ごとに、α(アルファ)=因果関係が否定できない▽β(ベータ)=因果関係が認められない▽γ(ガンマ)=情報が不足しているために、現時点では因果関係を評価できない――という三つに分類する。ガンマ評価は、追加情報などをもとに評価がアルファやベータに変わることもある。

 報告時点ではワクチン接種によって死亡したものかわかっていない。部会が持病や接種前後の経過、解剖で得た情報などを元に評価するが、ワクチンと死因との因果関係を明確にすることは難しい。このため、報告された死因が、ワクチンを接種していない一般集団で起こる頻度よりも高いかどうかを評価する上で重要視している。

 アナフィラキシーの報告数や死亡数は、ワクチン接種を受けた人たちの年齢層などによっても変動する。(市野塊)