名古屋めし「きしめん」を守るため、あえて脱「手打ち」

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三浦惇平
地元で食べられないきしめん、普及へあえての脱「手打ち」=三浦惇平
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 名古屋めし・きしめんを、地元の人に普段から食べてほしい――。そんな思いのもと、名古屋市で5月、あるきしめん店が立ち上がった。長く親しまれてきた味を引き継ぎながら、うすく幅広い麺をあえて「手打ち」せずに、最新の技術を取り入れ、新たな製法に挑んでいる。

 名古屋市千種区の商業施設「星が丘テラスTHE KITCHEN」の一角に入る「星が丘製麺所」。お昼時には平日でも行列ができる。ガラス張りの製麺スペースでは、スタッフが製麺機に愛知県産の小麦でつくった生地を投入。できあがった麺の幅は約3センチと通常よりもやや幅広で、厚さもうすめだ。運営会社社長の衣笠太門(たもん)さん(47)は「魅力を伝えるため、『きしめんらしさ』をより強調した」と話す。

 客は、麺(並で税込み250円)に、自分でつゆ(250~300円)を選んで注文する。「気軽に入って、好きな食べ方ができる。昔ながらの公設市場にある食堂スタイルの製麺所をイメージした」(衣笠さん)という。

 名古屋の老舗うどん店「高砂」の店主、堀江高弘さん(54)も運営に加わり、つゆや麺を監修した。つゆは、名古屋のうどん店でよく使われるムロアジやソウダガツオ、サバをベースにしたものを用意。たまり醬油を合わせた濃いめの「赤つゆ」、白醬油であっさりとした「白つゆ」、赤みそを使った「みそつゆ」、「ざるつゆ」の4種類がある。複数のだしをそろえるのも、名古屋独特の習慣にならったという。

 「きしめんを名古屋のソウルフードに」と語る衣笠さんだが、実は神戸市出身。「麺類マニア」を自称し、好物の讃岐うどんを自分で打とうと、大学在学中から香川県の店で修行を積んだ。大手うどんチェーンに勤め、東京1号店の立ち上げ時に店長を務めた経験も持つ。約10年前、名古屋に移り住み、うどん店を開いた。

手間のかかるきしめん

 名物のきしめんを食べ歩き、独特の形状と食感にはまったが、地元の人が普段、あまり食べないことに驚いた。「香川の人が日常的に讃岐うどんを食べるように、名古屋の人もきしめんを食べると思っていた」

 原因の一つに、つくり手が減…

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