コロナ対策雇用助成金詐取か 大阪府警が容疑の男ら逮捕

河野光汰、茶井祐輝
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 新型コロナウイルスの影響を受けた事業所に対し、従業員の休業手当などの一部を助成する国の雇用調整助成金などをだまし取ったとして、大阪府警は7日、指南役とみられる大阪市北区の職業不詳、平川誠容疑者(44)ら3人を逮捕し、発表した。専門家は各種給付金の審査態勢の甘さが狙われていると指摘する。

 府警生活安全特別捜査隊によると、平川容疑者と清掃業、中村紀代子容疑者(57)=公判中=らは2020年5月~21年1月、実態がないのに厚生労働省に雇用調整助成金と、アルバイト従業員らを対象とした緊急雇用安定助成金を申請し、計約3500万円をだまし取った疑いがある。平川容疑者らは実際には働いていない人を中村容疑者が経営する清掃業者の従業員と偽って申請を繰り返していたという。

 平川、中村両容疑者は経済産業省の持続化給付金100万円をだまし取ったとして、今年3月に詐欺容疑で逮捕された。5月に大阪地裁であった初公判で平川容疑者は起訴内容を認めている。

 捜査関係者によると、持続化給付金の詐取容疑で捜査を進めたところ、平川、中村両容疑者が雇用調整助成金などもだまし取っていた疑いが浮上したという。

 雇用調整助成金の支給額がコロナ禍の特例で1人あたり最大日額1万5千円に引き上げられ、従業員のタイムカードや給与明細の写しを提出すれば申請できるなど、手続きも簡素化された。

 厚労省によると、特例が導入された20年2月~今年6月末までに計378万件が支給決定された。年率にすると、約6400件だった19年度の400倍を超すペースだ。

 一方、今年4月までに44件(計約計2億7千万円分)の不正受給が発覚している。従業員を休業させたように装ったり、従業員ではない人に休業手当を支払ったように見せかけたりするケースが大半だという。同省は悪質と判断した場合は刑事告発する方針だ。

 兵庫県警は6月、知人らを勝手に「従業員」として雇用調整助成金計約1700万円をだまし取ったとして、姫路市の会社役員の男ら3人を逮捕した。北海道や岡山県でも逮捕者が出ている。

 詐欺事件に詳しい上原幹男弁護士(第二東京弁護士会)は「形式上の書類がそろっていれば申請が通る現行の審査態勢は改善していく必要がある」と指摘。別人を従業員と偽って申請するケースが散見されることから「例えば、偽造の難しい給与の振り込み履歴の提出などを義務化すれば不正申請の数を減らすことにはつながるのでは」と話す。

 厚労省の担当者は「コロナ禍で困窮している人を救済するための制度で不正な申請を前提としていない」とし、「悪質な申請については刑事告発を含め厳正に対処する」としている。(河野光汰、茶井祐輝)