経済を懸念、感染対策後手に 福岡県「第4波」の教訓

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神野勇人、藤山圭
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 今春、全国で猛威を振るった新型コロナウイルスの第4波。九州の玄関口福岡県は、国から押し切られる形で緊急事態宣言の対象となり、病床確保に努めることで「医療崩壊」を食い止めようとした。新たな変異株の脅威が迫る中、「第5波」にどう備えるべきか。教訓を元に対策を急ぐ。

 大阪府の新規感染者が一挙に1千人を超えた4月半ば。全国的な感染再拡大の予感が強まる中、福岡県の服部誠太郎知事は、感染を食い止めつつ経済への悪影響をいかに回避するか気をもんでいた。

 県では4月14日、約2カ月ぶりに新規感染者が100人を超えた。感染が際立つ福岡市の飲食店に時短営業を求める独自の対策を19日に決めると、3日後に久留米市にも拡大した。

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緊急事態宣言の延長を政府に要請後、記者会見を開いた服部誠太郎知事=2021年5月25日午後3時39分、福岡県庁、松澤拓樹撮影

 服部氏がこだわったのは、社会や経済への影響を最小化する段階的な対策だった。前回の時短要請解除から1カ月ほど。「自粛要請を早めるほど疲弊した飲食店に負担をかける」(県幹部)。服部氏は「感染防止と社会経済活動のバランスを考える必要がある」と繰り返し、より強い制限を伴う「まん延防止等重点措置」や緊急事態宣言には慎重な姿勢を続けていた。

 だが、実際の感染状況は県の認識を上回る形で深刻度を増していた。厚生労働省の専門家組織(アドバイザリーボード)はこの時、人流が減らない福岡県を「危険な状況」と認識。新規感染者数が今年初めの第3波のピークを超えた直後の4月29日、県内の病床使用率は50%を超え、「ステージ4(感染爆発)」を突破した。重症化しやすい変異株による感染も7割を超えた。県医師会長が「行政がやるべきは緊急事態宣言だ」と迫り、対策の強化を求める声は日増しに高まっていた。

 それでも、「県の対策の効果をしっかり見極めたい」と渋る服部氏に、北橋健治北九州市長ら県内の首長が感染拡大の懸念を伝えると、県は5月1日、国への重点措置適用の要請に踏み切った。県内一律の緊急事態宣言ではなく、感染状況に応じて対象地域を絞れる手段を選ぶことで、経済への影響を抑えたいとの思惑があった。

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福岡県が設置した「広域接種センター」でワクチン接種を受ける高齢者=2021年6月7日午前9時46分、田川市の福岡県立大学、金子淳撮影

 だが、県の意向をかき消すように政府が選んだのは、緊急事態宣言の適用だった。

 5月6日、西村康稔経済再生…

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