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日記に記した妻の「アッケない死」 被災後に体調悪化

中村建太
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 【岡山】西日本豪雨による県内の死者95人のうち、34人は災害関連死だ。この1年も新たに6人が認定された。被災後の心身の負担などで亡くなる人は少なくない。

 真備町箭田の秋山忠明さん(85)は発災5カ月後に妻の保枝さん(当時79)を亡くし、2019年6月に関連死認定された。

 脳梗塞(こうそく)や両脚の骨折を抱えていた保枝さんは18年4月、治療を終えて退院。7月の発災直前には、高台の自宅までシルバーカーを押して一人で上がれるほど体力は戻っていた。

 だが豪雨の影響で自宅が断水し、車で30分以上離れた長女の家に避難。約20日後に帰宅したが、環境の急変からか徐々に体調を崩していった。

 8月には心不全などで2度救急搬送され、転院を繰り返した。その後の入院生活を忠明さんは日記に書き留め続けた。

 〈9月8日 保枝、吐き気を一日中言う〉

 〈11月29日 ほとんど食べずに寝るのみ。終息か?〉

 12月2日夕、いつものように見舞いに来た忠明さんが帰ろうとすると、保枝さんが「もう帰るん?」と珍しく寂しがった。「また明日来るけえ、元気になっとけよ」と返した。これが最後の会話となった。

 〈12月3日 2時、呼吸停止。2:37、医師の死亡宣告。アッケない死〉

 保枝さんに寄り添い、最期をみとった。

 「保枝の病気や骨折が順調に治りかけていたときに水害が起きた」。国や自治体がもっと治水に力を入れていれば、ここまで被害は広がらず、妻の犠牲もなかったのでは――。そんな思いは尽きない。

 保枝さんが元気だった頃、旅先で保枝さんの写真を何枚も撮った。「写真の中の保枝はその時のまま。こっちだけが年を取っていく」。3年の月日を感じるたびに、もっと一緒に過ごせたのでは、と思う。(中村建太)