こぶし利かせ交通安全訴え 「演歌ポリス」歌うあの名曲

松島研人
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 【愛知】トランペットの高らかな音色に続き、こぶしを利かせた力強い歌声が響く。「♪自転車乗るときゃよ~ ヘルメット~ ヘルメット~」

 自転車が絡む交通事故を防ごうと、愛知県警中村署が、ヘルメットの着用などを呼びかける歌を作った。演歌歌手北島三郎さんらの名曲「与作」の替え歌で、高校時代に「NHKのど自慢」の地域大会で優勝経験のある新記直臣(しんきなおと)巡査長(30)が歌う。

 新記巡査長は石川県能美(のみ)市出身。祖父の影響で幼いころから演歌に親しみ、人前で歌うのが好きだった。小学3年のとき、地元のカラオケ大会で美空ひばりの歌を熱唱した。高校2年では、のど自慢の地域大会に出場。演歌で優勝し、翌年のチャンピオン大会にも出た。

 高校卒業後、祖父の実家があった愛知県で警察官の道に進んだ。中村署に移った2019年、楽器演奏が得意な署員4人で音楽隊「中村警察よくし隊」を結成。事件捜査や交番勤務の傍ら、音楽を交えた啓発活動に力を入れてきた。

 そんな経歴に中村署の落合実樹(みき)交通課長が目をつけた。県内では昨年、自転車事故で29人が死亡。そのうち21人は65歳以上の高齢者だった。多くはヘルメットを着けていなかったという。落合課長は「ハンドルに手を取られ、軽い事故でも頭を打って亡くなるケースは少なくない」と話す。県内では今年10月からヘルメット着用が義務化されることを受け、意識を高めてもらおうと高齢者になじみのある演歌をもとに替え歌の作詞を手がけた。著作権者の許諾も得た。

 歌の様子を5月下旬、県警の公式ユーチューブに投稿したところ、現在までの再生回数は約6千回。いまはコロナ禍で聴衆の前で歌う機会がないが、署には「CDが欲しい」といった問い合わせが多く寄せられているという。新記巡査長は「演歌には人の心を動かす力がある。演歌を通じて地域の安心安全につなげたい」と話す。

 動画は、ユーチューブの県警公式チャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=p1ntw8sV2X4別ウインドウで開きます)で見ることができる。(松島研人)