年配女性の一言にモヤモヤ 学生がジェンダー考える企画

城真弓
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 女の子は大学に行かなくていいの?――。自身のふとした経験をきっかけに、日本のジェンダー格差の現状に疑問を持った高校生が10日、女性起業家を講師に招いたワークショップをオンラインで行う。ジェンダー問題の解決には、女性起業家を増やすことが必要だと考えた。

 北九州八幡西区の私立自由ケ丘高校3年生、上甲真里花さん(17)は高校入学後、登校中の電車内で隣に座った年配の女性から話しかけられた。将来について問われ、「大学に行きたい」と答えた上甲さんに対し、女性は「女の子は大学にいかなくてもよい。高校を卒業したら働いたほうがいい」と言ったという。

 何げない世間話だったが、「なんとも言い表せない気持ちになった」と上甲さん。それまで、ジェンダーの問題について、知ってはいたがあまり問題視したことはなかった。女性の口調に批判の色はなかったが、「なぜそんなことを言われなければならないのか」と、心中は疑問でいっぱいになった。

 そんなやり取りに突き動かされ、海外と日本のジェンダーギャップ指数の比較など、ジェンダーをめぐるデータから調べ始めた。2019年発表の日本の指数は、世界153カ国のうち121位(21年は120位)。育休取得率の男女比、政治家ら要人の失言の数々――。調べれば調べるほど、日本の置かれた状況に落胆した。

 ジェンダー問題に詳しい識者や女性経営者らにも話を聞いた。企業の採用時点で女性の割合が少ないことや、女性は管理職につく前に退職したり、働きにくい職場で管理職になることをためらったりする現状があることを知った。

 調べる中で、社会で活躍する女性、特に女性起業家を増やすことが解決の糸口になるのではないか、と考えた。女性が企業のトップに就けば、女性の働きやすい職場環境を整え、女性の雇用や管理職への登用も増える。活躍する女性起業家が増えることで、政治にも影響を与えられるのではないか――。

 上甲さんは、シングルマザーの家庭で育ち、仕事と子育て、家事で大変な母の姿を目の当たりにしてきた。女性活躍社会の途上にある今の日本では、シングルマザーなど頼れる人がいない人ほど起業して欲しいと思う。起業をすれば、自身の裁量で働けると考えるからだ。

 北九州市の一般社団法人進路指導・キャリア教育支援機構の力も借り、女性起業家を増やす第一歩として今月10日、高校生や大学生、起業に興味のある主婦らを対象にしたオンラインワークショップを開く。子育てしながら起業した熊本の女性(37)を講師に招き、起業のメリットやデメリットを話してもらった後、グループに分かれて議論や意見交換をする予定だ。

 「社会で女性が活躍する姿が当たり前になれば、一人ひとりの意識も変わり、私のような思いをする人はいなくなるはず」。上甲さんはワークショップを終えれば、受験勉強に専念する予定だが、大学でもジェンダーについて学び、国連で働いたり起業したりして、ジェンダーギャップのない社会をつくる夢を描く。

 ワークショップの参加料は高校生無料、大学生千円、大人2千円。問い合わせは法人内の事務局(050・1186・8595)へ。(城真弓)

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男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]