富士フイルムHD新社長「カメラは文化、事業やめない」

鈴木康朗
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 富士フイルムホールディングス(HD)社長に6月に就任した後藤禎一氏が、朝日新聞のインタビューに応じ、医療機器や製薬など医療関連事業の売上高を2026年度をめどに8割増の1兆円に伸ばすと語った。海外の製薬大手からコロナワクチンや医薬品の製造受託が増えることも追い風になると見込む。

 後藤氏は中国・上海での医療機器販売の責任者に08年に就いて以来、医療関連部門を歩んできた。2000年から21年にわたり同社の経営トップを担ってきた古森重隆氏が6月に最高顧問に退き、社長の助野健児氏が会長に就いた後を後藤氏が引き継いだ。

 同社は長年、医療事業で「売上高1兆円規模」の目標を掲げているが、昨年度はおよそ半分の約5600億円だった。後藤氏は「コロナ禍によって、世界市場でワクチン医薬品開発への投資が前倒しされている」と分析。目標達成のかぎに医薬品などの製造受託事業をあげた。

 富士フイルムHDは、英国やデンマーク、米国に製造拠点を持っている。いずれも世界的な製薬大手が本拠を置く地域だ。「地産地消というか、拠点が近い方が相手とやりとりしやすく信頼にもつながる」と語った。

 半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が茨城県つくば市に研究開発拠点を新設して進める最先端半導体の開発にも参画する構えだ。半導体チップを積み上げて性能を高める「3次元集積化」という先端技術で使われる材料も手がけている。「半導体の材料は、日本企業が世界的にも優位だ。新たな商機にもなる」と話した。

 フィルムやカメラの事業については、事業を売却せずに続けていく方針を明言した。「文化の継承でもあり、続けていく。ESGで言えば、S(社会への貢献)だ」とした。(鈴木康朗)