「大切な家族守れない」 同性婚訴訟、原告2人が陳述

塩入彩
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 同性婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法に違反するとして、生まれたときの体と自認する性が異なる「トランスジェンダー」などの性的少数者8人が、1人あたり100万円の賠償を国に求めて提訴した訴訟の第1回口頭弁論が8日、東京地裁であった。国側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。

 この日は2人の原告が意見陳述をした。原告の40代公務員の女性は、「いまのままでは、私は、私の大切な家族を守ることができない」と指摘。同じく原告のトランスジェンダー男性と6年以上一緒に暮らすが、戸籍上の性別は女性同士のため、法律上の結婚ができない。女性の連れ子である娘を一緒に育てているが、「娘とパートナーは、法律上は赤の他人。私たちには社会的な補償はどこにもありません」。法律上の家族になれないことで、偏見や差別を恐れて暮らしているとも明かし、「私たちのような家族でも、安心して子育てができるようにしてほしい」と訴えた。

 もう一人の原告で、同性パートナーと暮らす藤井美由紀さん(46)は、パートナーが乳がんの手術を受けた際、法律上の家族ではないために、手術の説明を受けられない可能性があったと指摘。病院側にはいとこだとうそをついて説明を受けたが、「もし結婚できていたら、こんな心苦しい思いをせず、正直に話せたはず」と話し、今後も病気になった際に付き添えるか不安だと明かした。「安心して社会の一員として暮らしていけるよう、2人の関係性を社会的に承認してもらいたい。私たちのように不安定な関係は私たちの世代で終わりにしたい」と訴えた。

 同性婚をめぐる集団訴訟は2019年に東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5地裁に起こされ、そのうち札幌地裁は今年3月、民法や戸籍法の規定は「法の下の平等」を定めた憲法14条に反するという判決を出した。今回の訴訟は、3月に追加提訴され、トランスジェンダーのほか、性別にとらわれず人を好きになる「パンセクシュアル」の人らも原告として参加している。(塩入彩)