「マネジャー=女子マネ」はなぜ? 昔は男子マネが主流

この連載は黒田早織が担当しました
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 今回の取材をするなかで、同じマネジャーでも男子と女子では役割が違うことに気付いた。男子マネジャーはコーチをしたり部のマネジメントを担ったり、仕事の幅が広い印象を受けた。マネジャーの仕事内容とジェンダーにはどんな関係があるのか。『女子マネージャーの誕生とメディア』(ミネルヴァ書房)著者の高井昌吏・東洋大社会学部教授に聞いた。

 ――「マネジャー=女子マネ」のイメージはいつごろ生まれたのでしょうか。

 歴史的には「男子運動部のマネジャー」=「男子マネジャー」でした。男女共学ではなかった戦前はもちろん、戦後もしばらく続きました。仕事内容は給水の用意やスコアラーの他に、対外試合の交渉や予算に関することなど、多岐にわたっていました。

 女子マネジャーが徐々に誕生するのは1960年代ごろ。「男は働き女は家事」という高度経済成長期に浸透した性別役割分業の部活動への反映であることなどが要因だとよく指摘されます。ですが、私は大学進学率が上がった男子が受験勉強に注力するために運動部を避けるようになり、人手として女子マネジャーが必要になったことも大きな要因だとみています。

 仕事内容も「ケア」中心のものに変化していきました。「女なのにマネジャー」から「女だからマネジャー」になったのです。

 ただ、今は女子の大学進学率も上がっていますから、男子マネジャーが増えてもいいはずですが。

 ――「マネジャー」といってもいろいろな役割があります。

 道具の準備や掃除など身の回りの雑用から、練習の補助、技術的なサポートをするコーチ役、体のケアなどトレーナー的業務など様々です。しかし、役割としての「女子マネジャー」と「男子マネジャー」は微妙に違いますね。

 ――取材で、男子マネジャーの役割は「女子マネ」より広いと感じました。

 例えば「おにぎりを作る」という仕事。男子がしている姿は正直すぐには思い浮かべにくい。「女子マネ像」が固定化されているからでしょう。

 部活動は学校教育の一環で、マネジャーの役割も顧問の先生次第のところがある。生徒はもちろん、顧問の先生の中にも「マネジャー=女子マネ」以外のモデルがない人もいる。だから男子には別の仕事を任せるのではないかと思います。

 ――「女子マネ」でも「男子マネ」でもなく、「マネジャー」が浸透する日は来るのでしょうか。

 本来、マネジャーは誰がやってもいいはずなのにジェンダー化されています。かつての「看護婦」「保母さん」などと同じです。今では社会のジェンダー意識が変わり、「看護師」「保育士」という表現が定着しています。「マネジャー=女子マネ」でなくなる時代もくるかもしれません。

 ただ、学校スポーツは独自の文化の中でガラパゴス化している部分も多い。教育現場が「社会変革の機運」にどう敏感に反応し、なじんでいけるかが課題だと思います。あとはマネジャーが担うようなケアワークが、もっと評価される客観的な仕組みができればいいと思います。

 ――ジェンダー的な固定観念がなくなれば、高校野球の裾野も広がるのでは。

 誰にとっても選択肢が広がります。以前「もしドラ」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』。ドラッカーの経営学理論書を参考にして、マネジャーがチームを甲子園に導こうと奮闘する物語)がはやりましたが、ああいう役割をするマネジャーが男女ともに増えたら面白い。今の男子マネジャーたちは「パイオニア」と言えるかもしれませんね。(この連載は黒田早織が担当しました)