人類の災難か、希望の光か 「特殊な五輪」への世界の目

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半田尚子、日高奈緒、北京=高田正幸、ソウル=鈴木拓也、パリ=疋田多揚
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 今夏の東京五輪が、緊急事態宣言の下で開かれることになった。コロナ禍を克服できていない中での大会に、世界が注目している。

 中国の共産党機関紙人民日報系の健康時報は8日、日本の緊急事態宣言のニュースを伝えるとともに「今回は特殊な五輪となる」と報じた。

 来年2月に北京冬季五輪の開幕が予定されており、中国では東京五輪への関心が高い。中国メディアは連日、中国代表団の動向を伝えている。

 習近平(シーチンピン)国家主席東京五輪の開催に「支持」を明言していることなどから、中国メディアでは、開催に否定的な報道は少ない。ただ、緊急事態宣言の報道を受けて、中国のSNSでは「開催すべきではない。人類の災難だ」「あってもなくてもいい五輪。多くの市民が反対し、選手も参加意欲を欠いているのに」「こんな状態で開催しても意味がない。五輪精神を失った大会だ」などと開催を疑問視する投稿が相次いでいる。

 「五輪を目前に控えて緊急事態を宣言するほど、東京の状況は悪化している」。韓国主要紙の中央日報は7日、「競技は無観客で行われる見通しとなった」と早々に伝えていた。

 日本の感染状況の悪化を報じる中で、ワクチン接種の遅れを指摘する報道も目立つ。

 米紙ロサンゼルス・タイムズは7日、緊急事態宣言と五輪開催について取り上げ、「(日本政府の)これまでの対策は遅く、ワクチン接種を終えた人は全体の15%だけだ」と指摘した。

 AFP通信は「デルタ株が新たな感染の波を招き、病院が患者で埋まりかねないと専門家が懸念している」とし、東京五輪について、「大会組織委は熱狂を生み出そうと努力している」ものの、世論調査では「大半の日本人が延期か中止を望んでいる」と伝えた。

 インドネシアでは8日、首都ジャカルタにある大統領宮殿で、選手団の壮行式が開かれた。式典は屋外で開かれ、インドネシア代表ジャージーに身を包んだ選手たちは、マスク2枚にフェースシールドを着用するなど、感染防止策を徹底して参加。ジョコ大統領は選手たちを「国民はメダルを手にしたみなさんの帰国を待っている。健闘を祈ります」と激励した。

 インドネシアからは陸上競技やバドミントンなど8競技に28人の選手が参加する。全員がワクチン接種を済ませているという。

 インドネシアでは6月上旬から感染が急拡大。1日の新規感染者数は約5千人から、7月7日には約3万4千人に増えている。

 インドネシアオリンピック委員会(IOC)は、選手の感染防止に取り組んできた。選手たちの移動は宿泊施設と練習場所の往復に限られ、家族との接触も禁止された。免疫力を高める効果を期待し、ビタミン剤も配布しているという。

 IOCのフェリ・コノ事務局長は朝日新聞助手の取材に対し、「インドネシアからウイルスを持ち込まないよう、細心の注意を払っている」と説明。コロナ禍で世界中で多くの国際スポーツ大会が中止になってきたことに触れ、「私たちにとって東京五輪は暗いトンネルの中の希望の光だ」と期待を語った。(半田尚子、日高奈緒、北京=高田正幸、ソウル=鈴木拓也、パリ=疋田多揚)

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