小村雪岱の美に迫る展覧会 山口県美で開幕

寺島笑花
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 大正から昭和にかけて装丁や挿絵、舞台美術など幅広い分野で活躍した小村雪岱(せったい)(1887~1940)の作品を紹介する「小村雪岱スタイル」が8日、山口市の県立美術館で開幕した。同美術館、朝日新聞社、yab山口朝日放送主催。雪岱が手がけた装丁本や肉筆画など約200点。8月29日まで。

 洗練されたシンプルでモダンな作風が目を引く。どこか落ち着く色使いや独特な構図は、時代を超えて「かっこよさ」を感じさせる。雪岱は埼玉県川越市出身。東京美術学校(現・東京芸術大)で学んだ日本画が原点だが、オリジナルな作品を積極的に生み出すというよりは、装丁や連載小説の挿絵など商業美術の世界で大きな影響を与えた。

 30代には5年間資生堂のデザイン部門に所属し、同社独自の「資生堂書体」の作成にも携わった。

 これまで芸術作品として高く評価されてこなかったが、同館学芸課の岡本麻美主任(39)によると、近年再評価の機運が高まっている。小説の世界観を表現した挿絵や装丁は、物語の情景や登場人物の表情が見えて、美術に詳しくなくても楽しめる。同館学芸課の岡本麻美主任は「多様な作品に通底する、シンプルだけど情緒的な雪岱の美意識を感じてほしい」と話している。

 開館は午前9時~午後5時、月曜休館(8月2日、9日は開館)。(寺島笑花)