「五輪はやるんでしょ」 緊急事態、TOKYOの困惑

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武田啓亮、横山輝 枝松佑樹、石塚広志 荻原千明、伊木緑遠藤隆史
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 新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にある東京都に、4度目の緊急事態宣言が出されることが8日、決まった。東京五輪開幕は23日。暮らしが制限される中で、世界規模のイベントが開催されることになった。

 あちこちに「TOKYO」「2020」と書かれた五輪のフラッグが目立つ東京・渋谷のセンター街。そば屋の女性店主(55)は、今回の宣言で酒類の提供ができなくなることに、「客足が戻り始めた矢先にこれ。予想はしていたけれど、やはりしんどい」。酒類の提供を控えていた時期に客は4分の1以下に減ったが、10人いるアルバイトを解雇できないと、雇用調整助成金なども活用しながら耐えてきた。

 苦しい経営がまだまだ続くが、「飲食店が逆らったせいで感染が拡大したと言われたくない」からだ。一方で五輪には「あまりにも矛盾していて、怒りを通り越して笑ってしまう」とあきれ果てていた。

 「バイト先から『明日から週1で』と言われました」。男子学生(20)が本屋の軒先で雨宿りをしながらスマホをいじっていた。「日雇いを探さないと」と話す表情に疲れがにじむ。

 大学では今年から、対面授業が再開。生活にはバイト代が欠かせないが、コロナ禍で働き場所は見つけにくい。

 緊急事態宣言は8月22日までで、帰省の時期に重なる。5歳の長男と歩いていた会社員女性(34)は「実家に帰る機会がまた遠のいた」。高齢の両親のワクチン接種が済めば帰省できると思っていたが、「宣言中に帰ったら、悪いうわさが立つかも。念のため、やめておきます」。

 「コロナもオリンピックもどうでもいい。疲れちゃった」と話すのは、高校から帰宅途中の女子生徒(17)。吹奏楽部に所属しているが、昨年はコンクールが軒並み中止に。「今年も中止になったら、何のために部活をやっていたのか分からない」と嘆く。

 学校では昼食時も教員が「前…

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