7月8日の高校野球 宮城

近藤咲子
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 甲子園へと駆け上がる夏の大会が2年ぶりに戻ってきた。第103回全国高校野球選手権宮城大会は8日、楽天生命パーク宮城(仙台市宮城野区)で開会式があった。長引くコロナ下でも練習を積み上げてきた71校66チームが堂々と行進。その後、1、2回戦の3試合があり、仙台育英が初戦を突破した。

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 最終回に一挙4点を奪われても、ベンチは沈んでいない。「まだ終わってないぞ!」。仙台向山の主将、金野椋太君(3年)が仲間を鼓舞する。次々に「これから!これから!」と声が上がる。その勢いを借りて、金野君が打席に立った。

 4球目に来た低めの直球にくらいついて、何とかバットに当てた。力なく打球は三遊間に転がる。

 もうがむしゃらだった。一塁まで走り抜けると、塁審はセーフの判定。ベンチに向かって「しゃあ!」と叫んだ。

 この日、相手投手が攻略できず、チームは2安打にとどまっていた。

 1年から主力選手だった金野君は、春から調子を崩していた。「主将が沈んじゃだめだ」と誰よりも声を張り上げるようにした。「いけるぞ」「よく守った!」。攻守交代のたびに仲間をねぎらった。

 この日、なんとか打てた1本で一塁に出てからも、打席の仲間に「自分のスイングしろ」と叫んだ。

 試合後、球場脇で涙を流す仲間を前に、しっかりとした口調で思いを伝えた。

 「負けたことは悔しいけど、皆が最後まであきらめず声出してる姿を見られて、うれしかった」(近藤咲子)