おひとりさまに商機 中国減る結婚 火鍋も家も独身仕様
中国で恋人やパートナーをもたずに、ひとりの生活を楽しいと感じる人が増えている。自分の好きなことにお金や時間を使い、親から催促されても結婚を焦らない。そんな若者らの新しい潮流に、多くの企業がビジネスチャンスを見いだしている。
にしやま・あきひろ 1983年生まれ。高知県出身。2006年に入社し、経済部、国際報道部などを経て昨年9月から中国総局員。中国経済を担当。ひとり焼き肉に興味があります。ツイッターは@akhrnsym
大勢で円卓を囲む食事が伝統の中国での生活では、ひとりの外食に悩むことが少なくない。今年1月、出張先の山東省の中華料理店。キクラゲと卵の炒め物、ピータン、スープ、白米を定食のつもりで頼むと、いずれも3、4人前としか思えない量が出てきたこともある。日本より一皿の量が多いのはわかっていたが、何とか半分ほどは食べたもののさすがにつらい。ふと隣を見ると家族とみられる4人がもっと品数を頼み、分けあって食べていた。「中国でひとりは生きづらそうだ」と感じていた。
ところが最近は都市部を中心に、結婚を急がず、ひとりの生活を楽しむ人が増えているという。中国の調査会社が5月にインターネットで独身約3千人を調べたところ、4割超は3年以上交際相手がいなかった。人口は右肩上がりだが、中国民政省によると婚姻件数は2013年以降下がり続け、ここ10年間で最低に。独身者は日本の人口の約2倍にあたる2・4億人に上る。
中国の首都・北京市から高速鉄道で約30分の天津市。日本企業も多く進出する港町でもある。知人の紹介で知り合った自動車部品メーカーで働く孟麗君さん(31)も「彼氏はいないし、結婚予定もない。でもそれは大事なことじゃない」と言う。ひとり暮らしを心から楽しんでいる。平日は仕事を頑張り、休みの日には友達と食事したり、好きなことにお金を使ったり。そんな生活に満足している。
中国では社会人になった子ど…
- 【視点】
この記事が「14億人が住む中国を画一的に切り取ることは難しい」と指摘している点は、全く同感です。それでもこれまでは、結婚に対する重圧は中国社会に共通していました。若者は親の顔を見れば結婚を求められ、特に男性の場合は不動産を購入しておかない