内野抜けたらすぐ校舎 狭小グラウンドでも野球部は工夫

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 遊撃手がゴロをさばいて送球すると、一塁手が体を目いっぱい伸ばして捕球した。そのすぐ後ろを、下校する制服姿の生徒が横切った。

 浜名湖畔にあるオイスカ(浜松市西区)のグラウンドは独特な形状をしている。右翼は極端に狭く、本来なら右翼手がいるはずの位置には、3階建ての校舎がそびえ立つ。

 同校の創立は1983年。野球部の創部は28年後の2011年。今年で創部10年になる。創立当初は野球部がなかったため、グラウンドは野球の練習を想定した作りになっていない。

 遅れてできた野球部は、限られたスペースにネットやベースを配置して活動している。右翼には校舎、中堅には体育館がある。内野と左翼方向のわずかな外野だけの練習環境。「本当は内外野全てを使った練習がしたいが、このグラウンドでは」。永井浩二監督は苦笑する。

 変則的なグラウンドでは守備練習もままならない。それならばと、力を入れてきたのが打撃練習だ。とはいえ、グラウンドが狭いことに変わりはない。フリーバッティングは、バックネットに向かって打つ。

 「ボールの回収が必要ないから効率もいい。場所がないならないなりに工夫して練習するしかない」。前向きに捉える永井監督だが、「場所さえあればこんなに打撃には力を入れない」と、つい本音も漏れる。

 もう一つ部が取り組んでいるのがジム通いだ。成長過程の高校生は体作りが基本。そう考えた永井監督の方針で、部員たちは昨年12月から週3回ほどジムに通う。近場にあるスポーツジムに15分ほどランニング。トレーナーの指導の下、筋力トレーニングに励んできた。坂口風音主将(3年)は「スイングスピードも速くなり、飛距離も増した。着実に力がついてきたと思います」と手応えを語る。

 自慢の打撃だが、今春の西部地区大会では好投手2人を擁する掛川西を打ち崩せず6回コールド負け。相手投手の力のある速球に対応できなかったため、すぐに速球対策。ピッチングマシンの速さを140キロ以上に設定したり、マシンを前に出したりして速球対策の練習を繰り返した。

 すべての学校が同じ環境で野球に取り組めるわけではない。ならば、置かれた状況を生かして、いかに有効な練習ができるか。チームはずっと考えてきた。

 「今年は県内に好投手が多いので力のある投手を打ち崩せないと勝ち進んでいけない。どんなチームよりもいい打率を残して、打って勝つ」。過去最高の4強入りを目指して、工夫し、練習に取り組んできた選手たちの気合は十分だ。