気候変動リスク、開示基準議論へ G20財務相会合開幕

西尾邦明、ベネチア=吉田貴司
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 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が9日、イタリア・ベネチアで開幕した。議題の一つとなる気候変動問題では、温暖化による災害などのリスクを投資家に開示する基準について話し合う見通し。基準の内容や適用をめぐってはG20内に温度差があり、どこまで一致した立場を示せるかが焦点だ。

 今回は、昨年2月のサウジアラビア・リヤドでの会合以来約1年5カ月ぶりに対面形式で開催。日本からは麻生太郎財務相や黒田東彦(はるひこ)日本銀行総裁らが出席した。

 G20が気候変動の開示基準づくりを進めているのは、温暖化が原因とみられる災害が増え、投融資先が被災したり、保険会社が多額の保険金支払いを迫られたりして金融危機につながるリスクが高まってきたからだ。また、環境に配慮した企業への投資額が世界で3千兆円規模とも言われるなか、環境配慮を装った開示をする企業も出てきており、開示内容を評価するための共通基準が求められている。

 会合に先立ち、G20と連携して基準づくりを検討している金融安定理事会(FSB)は7日、年内に新たな審議会を立ち上げ、22年9月までに新基準を完成させるという工程表を公表。今回の財務相会合でも支持される見通しだ。

 今後の基準づくりの土台となるのは、FSBが立ち上げた「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による報告書だ。温暖化などが経営に与える影響を短期、中期、長期でどう評価しているのかや、災害などの影響をどう減らそうとしているのかなどの開示を勧めている。新たな基準では、こうした項目について、開示すべき内容をより詳しく定める方針だ。

 しかし、その具体的な内容や、各国が基準をどこまで企業に義務づけるかをめぐっては、G20内に温度差が目立つ。日米欧の主要7カ国(G7)は6月の首脳会議で、一定の義務づけを進めることで足並みをそろえた。だが、G20には、ロシアやサウジアラビアなどの資源国や、資源消費量の多いインドなども加わっており、日本政府関係者は「各国がどこまで実際に対応を進めるかについては意見が分かれ、議論になりそうだ」と話している。(西尾邦明、ベネチア=吉田貴司