海運・造船にやっときた順風 でも、手放しでは喜べず…

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小出大貴、友田雄大
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 近年、苦しい状況が続いていた造船・海運業界にコロナ禍で順風が吹き始めている。巣ごもり需要などで貨物の動きが世界的に活発になり、モノを運ぶコンテナ船は引っ張りだこ。船の注文も急増中だ。ただ、過去の経験を踏まえると手放しで喜べない面がある。そのわけとは――。

 船の価格鑑定を行う英ベッセルズバリューによると、コンテナ船製造の注文数は、今年上半期(1~6月)に286隻にのぼった。この半年で、コロナ前の2019年(106隻)や18年(211隻)の年間の量を超える活況ぶりだ。

 その理由は、コロナ下での荷動きの異変にある。昨秋ごろから巣ごもり需要で世界的に量が急増。人手不足による港や鉄道の混雑なども相まって船やコンテナがうまく回らなくなり、不足が深刻化していった。中国や台湾を中心に、世界の海運企業がコンテナ船の注文を増やしている。

 造船・海運企業は近年、厳しい業績が続いていた。リーマン・ショック前の好況期に競って船を造り、買ったものの、完成した頃には荷動きが落ち込み、深刻な「船余り」に陥った。海運各社が運賃を値下げしてシェア獲得競争に走り、業界全体が利益をあげにくい構造になった。韓国の海運最大手だった韓進(ハンジン)海運が16年に経営破綻(はたん)し、翌年には日系大手もコンテナ船事業を統合。造船業界でも、撤退や再編が相次いだ。

 そんな状況の中、コロナによって突然注文が増えたことに、造船大手は「約10年ぶりの明るいニュース」(関係者)と喜ぶ。日本造船工業会のまとめによると、ここ5年ほど下がり続けていた日本の手持ち工事量は、昨年12月を底に持ち直しつつある。国内造船2位のジャパンマリンユナイテッドの広報は「(価格競争で優位に立つ)中韓への発注がひととおり増え、(日本の造船所も)戦える水準の受注価格になった。昨年末ごろからやっと受注が増えてきた」と語る。

 一方、いまの需要の高まりに…

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