監督「やっぱり走りましたね」 1点渇望し迷わず本塁へ

元朝日新聞記者・高津守
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(9日、高校野球長野大会 須坂17-2蓼科・軽井沢・蘇南)

 蓼科・軽井沢・蘇南の連合チーム主将を務めた蓼科のトップバッター藤塚友綺(3年)はもう1点がほしかった。

 七回表に8点を奪われて17―1とリードされ、コールド負けが目前の七回裏の攻撃。1死三塁の場面で放ったボテボテの三ゴロは内野安打となって1点を返し、相手守備の乱れを突いて自身も二塁へ。続く2番高野颯太(同)が放った中前安打で迷うそぶりも見せずに三塁を回った。

 相手捕手の姿勢を見て「いい返球がきたらしい」と頭の中をよぎったものの、「絶対に入ってやる」とまっすぐにホームベースめがけて飛び込んだ。そのあとは頭の中が真っ白になって何も考えられない。脱げて転がるヘルメットの前で球審が大きなジェスチャーで「アウト」を宣告するのを見上げ、地面に突っ伏した。

 試合後、中村博之監督は「負けん気が強い藤塚は止めても回ったでしょう。この1年、人間的にずいぶん成長したと思いますが、やっぱり走りましたね」と苦笑しつつ、連合チームの主将をねぎらった。(元朝日新聞記者・高津守)