人間とはなにか 元少尉描く「ONODA」カンヌで喝采

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カンヌ=佐藤美鈴
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 フィリピン・ルバング島のジャングルで、太平洋戦争終結後も29年間潜伏を続け、生還した元陸軍少尉の故・小野田寛郎さんを描いた映画「ONODA」(原題)が、第74回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門のオープニング作品として7日夜(日本時間8日未明)に上映された。

「神話のような力」

 フランスや日本など5カ国による共同製作。映画は、小野田さんがフィリピンの島に派遣され、過酷な状況で仲間を一人ずつ失いながら終戦後もジャングルにとどまり続け、孤独に生き抜く姿を描く。フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督と、出演した俳優の森岡龍さんがレッドカーペットを歩き、上映会場で登壇。上映後には数分間にわたってスタンディングオベーションが続いた。

 アラリ監督は2013年ごろ、父親との会話をきっかけに小野田さんの物語に心を奪われたという。「誰もが興味を引かれる神話のような力がある。かつ、自分の内なるところで共感できる何かがあった」

 小野田さんに関する本を読むなどして脚本を書き、日本人俳優のオーディションも重ね、18年にカンボジアのジャングルで撮影した。「自分にとって最大の冒険だった」とアラリ監督。「小野田さんの物語を描きたいということもあったけれど、その先にある国や文化を越えた物語、人間とは何か、人間性の根幹に関わる普遍的なものを描きたかった」

 「ドキュメンタリーのように全てが史実に基づいているわけではないけれど、小野田さんに指先で触れるような形でこの映画を撮りたいと思った」とアラリ監督は言う。

 映画は小野田さんの心情に迫ると同時に、島民に対する暴力といった加害性にも触れている。「物語が進んでいく中で、単純に彼に感情移入して彼の視点だけから世界を見つめるのではなく、見ている人が一歩引いて見つめることができるようにしたかった」

 上映翌日にあった会見には、アラリ監督に加えて、ダブル主演で小野田さんを演じた遠藤雄弥さんと津田寛治さんが日本からリモートで参加した。

 遠藤さんは、撮影前は「文化…

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