中国、南シナ海で実効支配着々 仲裁裁判所判決から5年

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上海=井上亮、北京=冨名腰隆 ハノイ=宋光祐、バンコク=貝瀬秋彦
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 南シナ海における中国の権利主張を否定した常設仲裁裁判所の判決から、12日で5年になる。受け入れを拒否する中国はこの間、国際社会からの批判をよそに着々と実効支配を進めてきた。領有権を争う東南アジア諸国は反発しつつも、決定的な対立には踏み切れないのが実情だ。

南シナ海問題を巡る仲裁裁判

中国は南シナ海の諸島に「歴史的権利を有する」との立場から、南沙諸島の岩礁を埋め立てて人工島を造成。南シナ海の大部分を囲う「9段線」内の権利も主張してきた。これに対し、領有権を争うフィリピンは国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴。16年7月、第三国出身の裁判官5人が「南沙海域に法的な島は存在せず、人工島も島ではない」「9段線に法的根拠はない」などの判決を出した。判決は、どの国が領有権を有するかの判断は示していない。

 2016年7月の判決直後、中国で外交担当の国務委員を務めた戴秉国氏は「紙くずに過ぎない」と断じた。今も中国の姿勢に変化はなく、「無効で拘束力のない判決」との立場だ。一方で軍事的、法的な整備を進め、中国の主権の範囲内だという既成事実化を図っている。

 判決後も人工島の造成は停止せず、18年までに永暑(ファイアリー・クロス)礁などに3千メートル級の滑走路や電波妨害装置を完成。東南アジアの軍事専門家によると、今春も複数の戦闘機が着陸する様子が衛星画像などから確認された。「軍事拠点化」との国際社会の批判に、中国は「国防上必要な施設だ」と反論する。

 昨年4月には南沙(スプラトリー)諸島と西沙(パラセル)諸島に行政区を設置。南沙諸島は人が居住できない「岩」だとする判決を全否定する動きだった。

 今年2月には、法執行機関で…

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