有観客・無観客巡り応酬 全国知事会「言いにくいが…」

阿久沢悦子、徳島慎也、長谷川潤
[PR]

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、東京五輪の有観客、無観客を巡る論戦が、11日にあった全国知事会のオンライン会議で繰り広げられた。国際オリンピック委員会(IOC)関係者は入場できるとした判断にも批判の声があがった。

 五輪の観客を巡っては、8日に開かれた政府や都、大会組織委員会などの5者の代表者会議や競技会場を抱える自治体の会議などを経て、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の会場は無観客、北海道、宮城、福島、茨城、静岡は有観客といったん決まった。しかし、北海道と福島はその後、知事の判断で一転して無観客と決めた。

 この日の知事会は、新型コロナに関する政府への緊急提言をまとめるために開かれたが、五輪の観客を巡る議論になると、秋田県佐竹敬久知事は「言いにくいが、全部無観客にしていただいた方がいい。往来を相当厳しく制限しないと感染拡大は防げない。(観客の)直行直帰は無理だ」と発言した。

 これに対し、観客を入れて男女サッカーを開催する予定の村井嘉浩宮城県知事は「すでに観客を入れて開催する準備を始めている。混乱するので、知事会として(政府に対し)『無観客』の提言を入れないようにしてほしい」と反論した。

 村井知事は10日、福島県が無観客とする判断を発表したことを受けて、「宮城県では、有観客を前提に、観客輸送や競技会場内での観客の感染防止対策の徹底について、大会組織委員会に引き続き強く求める」とのコメントを発表。「県としても、組織委が定めた観客の行動ルールが守られるよう、組織委と連携して試合終了後の直行直帰の呼びかけなどに取り組む」としていた。

島根知事「関係者別枠は『この橋渡るべからず』だ」

 一方、無観客を決めた北海道の鈴木直道知事は知事会の席上、「やむを得ない。楽しみにしていた人の気持ちを無駄にしないよう、いつも一緒にいる人とのテレビ観戦など、安全なスタイルの呼びかけを徹底してほしい」と話した。

 大阪府吉村洋文知事も「デルタ株への置き換えが進む中、第5波は避けられない。『オリンピックは自宅で応援を』と呼びかけて」。愛知県大村秀章知事は「全国的に五輪のパブリックビューイングを自粛すべきだ」と訴えた。

 また、資格認定証が発行されているIOC関係者らは入場できるとされたことについて、島根県の丸山達也知事は「関係者は別枠というのは、一休さんのとんちの『この橋渡るべからず』に等しい」と指摘した。

 静岡県川勝平太知事は知事会後、県内で予定されている自転車競技について、組織委が示した制限の下、観客を入れて実施する考えをあらためて示した。

 観客数を「収容人数の50%か上限1万人」とした制限について、川勝知事は「感染防止対策の実効的な措置」と評価し、「静岡県は組織委と同一の歩調を取れる」とした。(阿久沢悦子、徳島慎也、長谷川潤)