性暴力の前に巧みにつけ込む 忍び寄る「グルーミング」

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大野晴香
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 「グルーミング」という言葉をご存じだろうか。動物の毛づくろいという意味の英語だが、子どもへの性犯罪では、犯人が巧みに被害者の心をつかんで接近する準備行動をいう。幼い子どもの従順さや思春期特有の悩みにつけ込み、被害者と「信頼関係」を結ぶため、周囲も気付かないまま加害行為が長期化することもある。

なんでも肯定してくれた「優しい人」

 東海地方の10代の少女に話を聞いた。中学生だったとき、SNSアプリを通じて知り合った男から性的被害を受けた。

 当時、友人との人間関係に悩んでいた。SNSの掲示板に悩みを書き込むと、男から反応があった。

 友人とのいさかいについて打ち明けると、「うんうん、つらかったね」「君は悪くないよ」。どんな愚痴や悩みを書いても、ずっと肯定してくれ、相談に乗ってくれた。男のことを「優しくて良い人」と感じた。

 趣味の話もした。少女が好きな歌手やアニメのことを話すと「それわかるわ」。共感してもらえたと思った。

 SNS上で1週間ほどやり取りを続けた。男は「今度、ドライブに行こうよ」と言った。

 なんでも肯定してくれる男を「自分のことをわかってくれる年上の人」と思い、信頼していた。誘いに応じて、会った。男がホテルの駐車場に車を入れたときも、何も疑っていなかった。

 部屋に入ると男が急に強引に体を触ってきた。

見せかけの信頼関係を築いて被害者に近づき、周囲から孤立させる「グルーミング」。日本では米国ほど知られてはいませんが、処罰規定を設ける議論も始まっています。記事後半ではこうした動きや専門家の見方も紹介します。

 それまで想像していた人とは…

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